2021 Fiscal Year Annual Research Report
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19K22468
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
少作 隆子 金沢大学, 保健学系, 教授 (60179025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三枝 理博 金沢大学, 医学系, 教授 (20296552)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 視床網様核 / 運動順序学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質へ送られる情報は視床において選別されている。この情報の選別において重要な役割を担っているのが、大脳皮質と視床の間に位置する視床網様核である。視床網様核はGABA作動性抑制性ニューロンで構成されており、視床および皮質より興奮性入力を受け視床を抑制している。本研究は、視床網様核の機能を明らかにするために、遺伝子操作マウスの作成、電気生理実験、行動実験を計画した。 初年度は、AVP-tdTomatoマウスでは視床網様核ニューロンが特異的に光ることを確認し、視床網様核で特異的に小胞型GABAトランスポーターを欠損するマウス(AVP-VGAT-/-マウス)の作成を中心に行った。次年度は、視床網様核ニューロンが赤色蛍光タンパク質で光る時期を調べたところ、生後10日前後であることが確認された。そこで生後20-30日齢マウスを用いて、視床網様核から視床ニューロンへの抑制性シナプス後電流の大きさを野生型とAVP-VGAT-/-マウスとで比較したところ、evoked IPSCの振幅は両群で有意な差はみられないという結果となった。この結果の解釈として、VGATの欠損に時間がかかることが考えられた。最終年度は、日齢を上げて電気生理実験を行ったところ、AVP-VGAT-/-マウスのevoked IPSCの振幅は4ヶ月齢では約半分に、10ヶ月齢では約3分の1以下に減少することが確認された。そこで、視床網様核の機能が低下している4ヶ月齢および10ヶ月齢のマウスを用いて行動実験を行ったところ、運動順序学習において障害がみられることが判明した。 運動順序学習は、大脳皮質→大脳基底核→視床→大脳皮質のループが関与していることから、このループの視床→大脳皮質の情報伝達が視床網様核により選別されることが運動順序学習において重要であるという仮説を立て、この仮説の検証を今後行う予定である。
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