2020 Fiscal Year Research-status Report
視・聴覚受容の【左右差】を基盤とした疾患概念の確立を目指して
Project/Area Number |
19K22472
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上山 健彦 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 教授 (80346254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 博史 神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 研究員 (00515223)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 視聴覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
①網膜における注目分子発現の【左右差】 とその機能的意義の解明 ②網膜の機能障害における注目分子の役割と加齢・負荷による 【左右差】 の意義解明 ③蝸牛における注目分子発現の 【左右差】 とその機能的意義の解明 ④蝸牛の機能障害における注目分子の役割と加齢や負荷による 【左右差】 の意義解明 ①に関しては、注目分子の発現が経時的に増加する事、雌雄差のない事を発見した。②に関しては、加齢や負荷により注目分子の発現が上昇する事、ノックアウトマウスでは障害が軽減することを明らかにした。③に関しては、注目分子の発現が経時的に増加する事、雌雄差のない事を発見した。④に関しては、加齢や負荷により注目分子の発現が、【左右差】を保持したまま上昇し、その発現の程度が聴力悪化に直結する事を、野生型とノックマウスの比較により明らかにした。また、発現及び機能的【左右差】は、4~6か月齢でもっとも著名であることを発見した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①、②の網膜に関する研究、③、④の蝸牛における研究の両者において、注目分子の発現の【左右差】 を明らかに出来た。機能的な【左右差】 については、聴覚においては聴性脳幹反応(ABR)により明らかに出来たが、視覚に関しては未遂行であり、本年度において、網膜電図(ERG)により証明する予定である。 聴覚の【左右差】においては、その臨床的な存在と意義を実証するため、臨床研究を遂行すべく、現在、倫理委員会への申請の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①、②の網膜に関する研究では、まず、注目分子の発現の【左右差】 と一致して機能的【左右差】が存在するのかを、網膜電図(ERG)により証明する。【左右差】 と機能については、加齢と抗癌剤であるシスプラチン以外にも、NMDA受容体刺激や虚血負荷を試して、注目分子の発現と機能的【左右差】の相関を確固たるものにする。この後に、【左右差】 を有する網膜疾患に注目して、注目分子の臨床的役割を明らかにする予定である。 ③、④の蝸牛における研究の両者では、注目分子の発現の【左右差】 と機能的【左右差】の相関を明らかに出来たので、臨床疾患との関りを明らかにするステップに進む。臨床疾患としては、老人性(加齢性)難聴と突発性難聴を標的疾患と考えている。
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Causes of Carryover |
網膜機能の【左右差】を実験的に証明するための共同研究者の選定に時間を要したため、その実験には、マウスの繁殖(増産)、輸送費、マウス実験に関わる消耗品が必要であり、それらの費用が未執行になり、繰越金(次年度使用額)とした。 現在、共同研究者が選定出来、使用予定が確定している。
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