2019 Fiscal Year Research-status Report
新規リン脂質様可溶化剤を用いた膜タンパク質の高分解NMR構造解析
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19K22493
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学研究科, 教授 (00201773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 義明 京都大学, 薬学研究科, 講師 (60402799)
星野 大 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (70304053)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質二分子膜と似た配向で膜タンパク質周囲を覆い可溶化できるようなデザインを持つリン脂質ベースの可溶化剤Cholyl-PCおよび、コール酸部分を硫酸化したCholyl-PC硫酸化体をデザイン。合成した。これらを用いて、7回膜貫通(7TM)型タンパク質であるバクテリオロドプシン(27 kDa)の可溶化実験を引き続き行った。レチナールの吸収スペクトル測定から、バクテリオロドプシンの可溶化効率と変性の程度を調べた。Cholyl-PCはバクテリオロドプシンの可溶化に、硫酸化体は小さい可溶化体サイズを保持する為にそれぞれ重要であることが明らかになった。そのため、まずCholyl-PCのみで可溶化を行い、そこに等量の硫酸化体を加える手順で可溶化を行い、40℃で1週間安定で小さい可溶化体を得た。蛍光標識バクテリオロドプシンを用いた蛍光相関分光法測定により、可溶化体が47 kDa程度の小さいサイズを持つことを確認した。これは、わずか約20分子の可溶化剤で、可溶化できることを示している。電子顕微鏡観察によっても、可溶化したバクテリオロドプシンが直径5 nm程度の粒子として可溶化されていることが確かめられた。 次に2H 15N標識培地を用いて、同位体標識バクテリオロドプシンを発現、精製した。これを可溶化し1H-15N TROSY-HSQCスペクトル測定を行ったところ、観測しうる残基数のおおよそ8割強のピーク数が観測できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜タンパク質バクテリオロドプシンを小サイズで長期間、安定に可溶化することに成功し、特許申請を行えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本可溶化剤の有用性をさらに示すため、バクテリオロドプシンに加えて、インフルエンザAのM2プロトンチャネルや、GPCRであるneuropeptide Y2受容体を用いて可溶化を行うとともに、構造解析の可能性を検討する。
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