2019 Fiscal Year Research-status Report
A role for oligodendrocyte precurser cells in the regulation of cognitive functions
Project/Area Number |
19K22494
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50402798)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 認知機能障害 / CNS炎症 / 白質傷害 / 特定的細胞除去 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症を含む難治性中枢神経疾患の研究対象として神経細胞の周囲環境に大きな影響を与えるグリア細胞に注目が集まっている。本研究ではさらに一歩踏み込み、従来の研究ではほとんど注目を浴びてこなかった髄鞘を形成するグリア細胞であるオリゴデンドロサイトの前駆細胞であるオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)の新たな病態生理学的役割の解明を研究目的とした。認知症で観察される白質傷害やそれに伴う中枢神経系炎症(CNS)炎症に対するOPCの関与を調べるため、その前段階として非病態モデルのマウスの脳や脊髄からPDGFRα陽性OPCを特異的に除去する方法の検討を中心に行った。入手したPDGFRα-Cre(ERT2)マウスとROSA26-iDTRマウスとを適宜掛け合わせることで、OPCと想定されるPDGFRα陽性細胞にのみジフテリア毒素受容体が発現するマウスを作製し、当該マウスにタモキシフェンとジフテリア毒素を適宜投与することで、OPCの選択的除去を試みた。ジフテリア毒素投与3日後のマウスから脳梁、前頭前皮質及び脊髄L3-L5を回収し、凍結切片を抗PDGFRα抗体で免疫染色した結果、PDGFRα陽性細胞数の顕著な減少が認められたことから、短期間のOPC除去モデルを作製することに成功した。並行して28日間OPCが除去された状態を維持するタイムコースの確立を目指していたが、薬物連投による体重減少や死亡の影響で、長期的な除去を行うことは困難であったため、次年度再検討する予定である。また、病態モデルにおけるOPCのCNS炎症関連遺伝子の発現変化を調べるため、成体マウスからOPCを分取する方法を検討したが、成体脳を単細胞化すると十分な細胞数が得られず、RNA抽出も困難であった。次年度は、さらに検討を重ね、安定して分取できる実験系を確立し、病態脳での解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
OPC特異的除去法の検討で、除去を維持するために投与薬物量やタイムコースの検討に時間を要し、プロトコル確立はできたものの、除去による炎症関連遺伝子発現変化の解析は行うことができなかった。またOPC分取プロトコルの確立が十分にできなかったため、病態モデルにおけるOPCの遺伝子発現変化の解析は実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度確立したPDGFRα陽性OPC特異的除去法を用いて、炎症性中枢神経疾患モデルにおいてOPCを除去し、病態への影響やサイトカイン等の炎症関連遺伝子の発現変化を精査する。また本年度に引き続き、PDGFRα陽性OPCの分取法を検討し、確立後各病態モデル由来OPCを病態の進行度に応じて経時的に分取し、サイトカイン発現を解析する。 本年度は上記実験と並行してラットおよびマウスOPCの初代培養系を確立し、CNS炎症を模した刺激により産生・遊離されるサイトカインについて検討したところ、一部について非常に顕著な産生・遊離を認めたため、次年度はその詳細や産生メカニズムについて検討する予定である。
|
Causes of Carryover |
概ね計画的に実験を遂行できたが、ごく少額を次年度に繰り越すこととなった
|