2020 Fiscal Year Research-status Report
A role for oligodendrocyte precurser cells in the regulation of cognitive functions
Project/Area Number |
19K22494
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50402798)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | オリゴデンドロサイト前駆細胞 / 脱髄性疾患 / エンドセリン-1 / 脳虚血 / CNS炎症 / TRPM3 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は脳虚血の病変部位におけるオリゴデンドロサイト前駆細胞(OPC)に関する新たな知見を得た。OPCは一部の脱髄疾患や脳虚血時の脳病変部で増加することが報告されているため、成体ラットにおいてエンドセリン-1(ET-1)誘発脳虚血モデルを作製し、その脱髄病変部を精査した。その結果、神経ステロイドである硫酸プレグネノロン(PS)や体温によって活性化されるCa2+透過性チャネルであるtransient receptor potential melastatin 3 (TRPM3)陽性のOPC数が顕著に増加していることを見出した。Pdgfra陽性細胞(OPC)は生後4日齢および成体ラットの大脳皮質および脳梁において、その一部がTrpm3陽性であり、また虚血傷害やTNFα処置などの炎症状態でTrpm3発現量が増大することも明らかになった。TRPM3はin vitroのOPCでも機能的に発現していること、またTNFα処置による炎症状態で発現量が増加することも明らかにし、TRPM3が虚血病態におけるOPCの特異的な行動の制御に関与している可能性を示した。 また、本年度はPDGFRα陽性のOPCを特異的に除去した後に、脱髄性疾患の病態モデルの精査を行った。その結果に関しては現在解析中である。OPC分取プロトコールの確立はほぼ終了したものの、新型コロナウイルス感染症対策に伴う緊急事態宣言等により、成体マウスを用いたin vivo実験が大幅に制限されたため、本課題に関する研究は遅々として進まなかった。そこで次年度は、これらの検討を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染症対策に伴う緊急事態宣言等により、成体マウスを用いた検討が大幅に制限されたため、本課題に関する研究は遅々として進まなかった。次年度には、成体マウスの病態モデルからOPCを分取し、炎症関連遺伝子の発現変化を調べ、詳細な解析を行う予定である
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に引き続き、多発性硬化症や慢性脳低灌流モデル等の脱髄性疾患のマウスにおけるOPC除去の効果を検証する。臨床スコアや高次脳機能障害を精査し、炎症レベルの変化を検出する。また、OPCを除去する時期を変更し、病期ごとのOPCの役割の違いを明らかにしたい。さらに、脱髄性疾患モデルマウス由来PDGFRα陽性OPCを病態の進行度に応じて経時的に分取し、他のグリア細胞とのサイトカインや炎症関連因子の発現の違いを精査する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策に伴う緊急事態宣言等により、本課題に関する成体マウスを用いた検討が大幅に制限されたため
|