2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of cancer specific signaling cascade by in vivo protein photo-cross-linking approach
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19K22496
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
土井 健史 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (00211409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋野 展正 大阪大学, 薬学研究科, 助教 (90469916)
山口 卓男 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (80596601)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | がんゲノム / 融合型キナーゼ / タンパク質間相互作用 / クロスリンク / 人工アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
がんのゲノム不安定化により生じる遺伝子融合型キナーゼは,野生型キナーゼとは異なる細胞内局在を示し,本来活性化しないはずのシグナル経路を活性化させることでがんの悪性化に寄与している.このことは,融合型キナーゼのみが活性化する下流カスケードを明らかできれば,それをターゲットにした新たながん治療薬が開発できる可能性を示している.本課題では,野生型および融合型それぞれのキナーゼが細胞内で直接基質とするタンパク質を「細胞内光クロスリンク法」という独自手法を用いて捕捉・同定することにより,それぞれのキナーゼがダイレクトに活性化するシグナルカスケードを明確に区別することを目指して研究を遂行した.一般的に,細胞内でのキナーゼ-基質間の結合はごく短時間で終了する.このことから,鋭敏な反応性を示すクロスリンク法をもってしても両者の相互作用を捉えるには相応の困難が予想された.そこで,これまでにその相互作用様式について多くの知見が得られているEGFRキナーゼとその基質SHCをモデルとし,両者の相互作用がクロスリンクにより検出できるかの検討を行なった.両者の結合状態を安定化すべく,EGFRキナーゼに対してその活性を欠損させる,あるいは,基質結合状態を模倣する変異を加え,さらに基質結合領域近傍に光架橋性アミノ酸を導入することによりSHCの捕捉を試みた.結果として両者のクロスリンクは検出されなかったが,興味深いことに,何らかの内在性因子とのクロスリンクを示す結果を得ることに成功した.上記研究と並行して,クロスリンクで捕捉した基質タンパク質を特異的にラベルし,その同定効率を飛躍的に向上させる新規光架橋性人工アミノ酸の開発を行なった.実際に,新規に合成した人工アミノ酸をタンパク質に導入すること,特異的にビオチンラベル化すること,さらに,相互作用因子との間にクロスリンクを形成させることに成功した.
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