2019 Fiscal Year Research-status Report
New neuronal circuit for itch transmission in the spinal dorsal horn
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19K22500
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
津田 誠 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40373394)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性掻痒 / 脊髄後角神経 / ケモジェネティックス / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
アトピー性皮膚炎等に伴う慢性的な痒みは,過度の肉体疲労や精神的ストレスを起こし,QOL低下の原因となる。従来,痒みは弱い痛みシグナルで起こるとされ,痒みの神経化学的理解は非常に遅れていた。近年の報告で脊髄後角のガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)が痒み神経伝達の中心的役割を担うとされたが,それ以外の伝達経路は不明である。本研究では,脊髄後角での因子X陽性神経の役割を明らかにすることを目的とし,R1年度は以下の項目を検討した。 項目1)因子X陽性神経サブセットの特異的活性化による痒み行動: アデノ随伴ウイルスを用いて因子X陽性神経特異的にhM3Dqを発現させ,hM3Dq作動薬CNOで同神経のみを活性化させたところ,著明な引っ掻き行動が誘発された。その引っ掻き行動はGRPR欠損マウスでも同様に観察された。一方で,GRPR発現神経細胞そのものを除去したマウスでは引っ掻き行動は抑制された。 項目2)因子X陽性神経サブセットの急性および慢性掻痒における役割: 因子X-CreマウスとROSA-DTRマウスの交配で作出したマウスの脊髄腔内へジフテリア毒素を投与し,脊髄の因子X陽性神経サブセットのみを除去した。同マウスの皮内に起痒物質であるクロロキンやCompound48/80を投与し,その後の引っ掻き行動を観察したところ,有意な抑制が認められた。また,接触皮膚炎モデル(DCP塗布)と乾癬モデル(イミキモド塗布)による引っ掻き行動も因子X陽性神経除去マウスで有意に抑制された。また,イミキモド塗布モデルによる引っ掻き行動はGRPR欠損マウスでは抑制されなかった。 以上の結果より,因子X陽性神経はGRP-GRPRシグナル非依存的なメカニズムで急性および慢性掻痒に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の実施項目として計画した内容をすべて遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度の交付申請書の各項目に従って順次予定通り研究を実施していく。
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Causes of Carryover |
理由:マウス二細胞期胚凍結保存代金が当初予定よりも安価であったため。 予定:次年度の実験動物購入に使用予定。
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Research Products
(4 results)