2019 Fiscal Year Research-status Report
Ion-pairing cooperative catalysis for fine chemical synthesis from ubiquitous carboxylic acid
Project/Area Number |
19K22501
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢崎 亮 九州大学, 薬学研究院, 助教 (70635812)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | カルボン酸 / ユビキタス / ラジカル / エンジオラート / 酸化 / 鉄 / アルカリ金属 / バイメタリック |
Outline of Annual Research Achievements |
αーアミノ酸やヒドロキシ酸は、ペプチドやバイオプラスチックなどの医薬品をはじめとする高機能性材料の構成成分として広く用いられている。これらの機能性材料は、構成成分であるαーアミノ酸やヒドロキシ酸の種類を変えることで、温度応答性や蛍光性など多様な機能を付与することができる。そのため非天然型αーアミノ酸およびヒドロキシ酸の効率的な合成法の確立は、従来法では合成困難な新規機能性分子創出のための根幹技術と成り得る。これまでの合成手法の多くは炭素―炭素結合形成反応を基盤とし、側鎖に多様な炭素骨格や官能基を有するαーアミノ酸およびヒドロキシ酸を合成するためには、多段階の合成が必須である。一方で、ユビキタスなカルボン酸を原料として、α位にヘテロ原子を直接導入できれば、天然物や医薬品由来複雑な炭素骨格や多様な官能基を側鎖に有する非天然型αーアミノ酸およびヒドロキシ酸合成法として理想的である。しかし、カルボン酸の活性化には酸性度の高いプロトンが共存するため、化学量論量の塩基の使用が必須であり、古典的には強塩基性条件が用いられており、合成終盤における適用が困難であった。さらにイオン型の付加反応による炭素ー炭素結合形成反応に限定されており、副反応として脱炭酸が進行しうるラジカル型反応の開発が望まれていた。本研究では、化学量論量の外部塩基を必要としない、レドックス活性なLewis酸触媒を用いたラジカル機構によるカルボン酸の直接的触媒的αー酸化反応の開発に成功した。さらに詳細な反応機構解析により、鉄とアルカリ金属の異種金属協働型触媒系によるカルボン酸の新規エノラート化機構を明らかとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで達成されていなかった化学量論量の外部塩基が不要なカルボン酸の触媒的な活性化法を確立した。本研究成果を基盤として様々な応用研究が可能であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
詳細な反応機構解析により独自の異種金属協働型触媒系によるカルボン酸の新規エノラート化機構が明らかとなった。本結果をもとに様々な反応への応用や、様々な組み合わせの二重活性化法の確立を目指す。
|
Causes of Carryover |
安価な触媒系の開発に成功したため本年度は予算を減額している。次年度は種々の金属触媒、有機触媒の検討を行う。
|
Research Products
(22 results)