2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22504
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
服部 光治 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (60272481)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 脳 / 脂肪酸 / リーリン / アラキドン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
リーリンは神経回路網の形成と維持に必須の分泌タンパク質であり、その「機能低下」が様々な精神神経疾患の発症や増悪化に寄与することが判ってきた。しかしリーリンの機能低下と疾患発症をつなぐ分子メカニズムの全貌は未解明であり、また、リーリン機能低下に対抗する方策も存在しなかった。本研究に先だって、リーリン欠損マウス脳ではPUFA含有量が低下している(リーリンが神経細胞のPUFA量を上昇させる)ことを見いだした。本研究では、神経細胞におけるリーリンと脂肪酸の関係について詳細に理解することを目的としている。 培養神経細胞を最低限の脂質存在下で培養する系を樹立し、ここに各種脂肪酸を添加することでその影響を調べた。その結果、脂肪酸によって神経突起の伸長や分岐に対する効果が大きく異なること、その効果の傾向が炭素数や二重結合数だけでは説明できないことを見いだした。さらに「膜流動性イメージングプローブ」を共同研究者から入手し、神経細胞の局所における膜の流動性を解析した。その結果、驚くべきことに、神経細胞のスパイン(興奮性の後シナプス)などでは、細胞膜の流動性がかなり異なることを見出した。このようなことは今まで想定されておらず、極めて新規性の高い発見である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養神経細胞を用いた結果がまとまりつつあるとともに、膜流動性イメージングを利用していくつかの新規知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
培養細胞を用いた実験結果を確固たるものにしつつ、マウス個体(リーリン欠損マウス等)を用いた解析も進める。
|
Causes of Carryover |
実験はおおむね計画通り進んだが、年度末の日本薬学会年会が開催されなかったため、旅費に関する出費が減少した。
|
Research Products
(32 results)