2021 Fiscal Year Research-status Report
改変ヘルペスウイルスLAT発現系による恒久的治療遺伝子供給システムの構築
Project/Area Number |
19K22505
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
宮川 世志幸 日本医科大学, 医学部, 講師 (90415604)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / CRISPRa / インシュレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、無毒化ヘルペスウイルス(HSV)ベクターシステムに対して、半永久的に治療遺伝子が供給できる発現系を組み込み、次世代型の遺伝子治療ベクターの構築を達成する。今年度は、治療遺伝子の発現カセットに用いるHSV 恒常的転写活性領域であるゲノム領域LAT及びCAGプロモーターを標的化するためのsgRNAを用いた発現系のデザインの最適化、これら改変CRISPR/dCas9/sgRNA発現系を無毒化HSVベクターに組み込んだ組換えHSVベクターの開発を行い、同ベクターを用いて、実際に恒久的遺伝子発現が誘導可能か確認することを目標としていた。まず、LAT領域及びCAGプロモーターを標的とするsgRNAを複数組み合わせて併用することで、転写活性効率を増強することができるか検討した。その結果、sgRNAを1つ使用した場合より、2つの組み合わせ、3つの組み合わせの方が有意に転写活性を向上できることを見出した。次に、いずれの組み合わせが効率的な転写活性化が可能か調べるために、作製した発現カセットの下流にレポーター遺伝子を組み込み、各sgRNAの組み合わせに対する発現量増加を測定した。その結果、転写活性をより効率的に上昇させるsgRNAの組み合わせを複数特定した。これら作製した発現カセットを無毒化HSVベクターシステムに組み込むために、LAT領域にGatewayシステム組換え配列を挿入したHSV-GWベクターを調整した。現在、最適化した発現カセットを順次HSVベクターに組み込み、組換えHSVベクターの作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は無毒化HSVベクターからの恒久的な遺伝子発現供給を実現するために、sgRNA発現カセットの最適化、同発現カセットを搭載した無毒化HSVベクターの開発及び機能性の確認を予定していた。sgRNA発現系の最適化については、sgRNAの組み合わせのスクリーニングを行うことにより、本CRISPR発現系により効率的にLATプロモーターの転写活性化が可能であることを確認した。また同発現系を搭載した無毒化HSVベクターの作製を行うために、LAT領域に組換え配列を搭載したベクターの調整も完了した。現在、組換えHSVベクターの作製を進めているが、コロナ禍の影響もあり、組換えHSVベクターの機能性の確認については遅れが生じている。従って、当該年度に予定した研究計画は目標達成に向けて推進はしているものの、研究計画はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として、sgRNA発現系を搭載した組換えHSVベクターの開発を進め、実際に恒久的遺伝子発現が誘導可能か機能性の確認を行う。sgRNA発現カセットの至適化についても引き続き行い、転写活性化をより効率的に行うことができる発現系の開発も同時に進める。
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Causes of Carryover |
上述の通り、改変CRISPR/dCas9/sgRNA発現系を搭載した無毒化HSVベクターの開発・機能性確認にやや遅れが生じたため、それらのベクター構築・機能解析等に必要な経費に余剰を生じた。次年度は改変HSVベクターの開発を早急に進め、そのベクターの機能をin vitro/in vivoにて評価する。ベクター開発及び機能性確認に必要な消耗品・実験動物の諸費用に経費を利用する。
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Research Products
(7 results)