2021 Fiscal Year Annual Research Report
Domestication Process in Addiction: Understanding Addiction from the Evolutionary Perspective
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19K22511
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 幸織 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (10645584)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 依存症 / 前頭前皮質 / 環境刺激 / アイトラッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、行為嗜癖または行為依存症(Behavioral Addiction)と呼ばれる一連の症状を有する患者を対象に、その行動学的特性ならびにそれに関わる脳神経基盤の解明、さらにはその進化的側面からの理解を目的とする。研究開始から3年目となる本年度は、2年目に引き続き、新型コロナウイルス流行のため、研究実施場所となっている特定医療法人共和会共和病院へのアクセス制限により新規での研究実施はできなかった。そのため、2019年に、16名の行為依存症と診断された患者(うち、病的窃盗10名、性的嗜好障害5名、病的賭博1名)と31名の健常者において実施した研究から取得し、まだ解析の終わっていないデータの解析を実施した。依存症では、環境刺激と依存行動との連合学習により、環境刺激に再び暴露されることで依存行動が惹起されることが示唆されていることから、依存行動と関連する画像やVR動画(例えばスーパーマーケット内の様子)を病的窃盗患者と健常者に提示し、これらの情報がどのように処理されるのかを視線追跡技術と光トポグラフィーによる前頭前皮質部位の脳活動計測を行った。これらの調査の結果、窃盗症患者では、依存行動と関連する画像を提示された際に健常者とは異なる視線パターンを行うことが見出された。また、窃盗症患者の前頭前皮質活動は、依存行動と関連する画像が提示された際の反応はとその他の他の画像が提示された際の反応とは異なる一方、健常者にはそのような差異は見られなかった。これらの結果から、窃盗症では、他の依存症と同様、その嗜癖行動の誘発に、環境刺激が関与している可能性が示唆される。
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Research Products
(6 results)