2019 Fiscal Year Research-status Report
Identification of prion protein-dependent neurodegenerative origin using a modified laser cutter
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19K22521
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
八谷 如美 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部開発第二部バイオ応用技術グループ, 主任研究員 (30408075)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | プリオンタンパク質 / プリオン / ミトコンドリア / 小胞体 / マイクロダイセクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、解析基質となる安定したサンプルを作出すること、MAMに相当するサイズの領域を生細胞から切削する方法について改良型レーザーマイクロダイセクション法を用いて確立すること、を目標とした。まず、ミトコンドリアに確実に標的化するPrPのプラスミドを見出すために、マウス神経芽細胞腫由来Neuro2a (N2a細胞) 細胞にGFPを融合したさまざまな長さのトランケートPrPを導入し発現させ、ライブセルイメージングにより判定した。その結果、N末端側からアミノ酸139番目までのトランケートフォームでは、発現したすべてのPrPがミトコンドリアに標的化し、ジギトニンを用いた可溶化法によって、ミトコンドリアに標的化したPrP(1-139)は70%以上がミトコンドリア外膜に局在していたことが明らかになったことから、本コンストラクトを解析基質のプラスミドとして使用することを確定した。また、本コンストラクトのPrPが標的化したミトコンドリアは周辺オルガネラを巻き込んでおよそ1~3ミクロン径の集積構造を核周囲に形成していたことから、このPrP-ミトコンドリア集積構造を改良型レーザーマイクロダイセクション法によって単離することによってMAMの領域を単離できる利点が得られた。また、ミトコンドリアの細胞内の均等分布が破綻したことで神経末端へのATP供給が滞り、神経細胞死が起こっていることも見出した。次に、上記の極微小領域を改良型レーザーマイクロダイセクション法によって切削したのち回収するためのデバイスの考案に着手した。目的サンプルの直径が1~3ミクロンであることから、強化ガラス、シリコン樹脂、PET樹脂で直径10 ミクロンのキャピラリーを作成し、加工して回収デバイスの候補として検討したところ、強化ガラスキャピラリーが回収操作上最も優れていたことから、強化ガラスを材料とすることを確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験はすべて進捗し成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、2019年度に確立した解析基質を用いて改良型レーザーカッターで当該領域を切削し、強化ガラスで構築したキャピラリーを用いた回収装置により切削領域を回収したのち、質量分析装置にかけて構成成分を同定する。これにより同定された構成成分中にMAMの分子が含有されている場合には、同定された分子の発現阻害などにより、PrPの局在が変化することでミトコンドリアの神経細胞内分布にどのような影響が出るかを調べることで、神経細胞全体にATPが十分に供給できないことによる神経変性の分子機構を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究補助員の募集において適任者が確定するのに時間を要したので、それまでの予定していた人件費相当分が次年度使用となったため。
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