2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K22531
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡部 泰賢 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任准教授(常勤) (50522124)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 体腔 / マクロファージ / リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、我々が同定した中皮細胞が白血球の末梢から腹腔内への侵入、そして腹腔内から末梢への侵出を制御する可能性を検討した。昨年度までに樹立した遺伝子改変マウスを用いて、腹腔内における各免疫細胞種の動態を解析した結果、腹腔内におけるリンパ球の減少を見出した。そこで本細胞がリンパ球の腹腔内移行を制御する可能性を検討する目的で、蛍光標識された脾臓リンパ球を静脈もしくは腹腔内から注入し、その動態を解析した。その結果、本中皮細胞が腹腔内への白血球侵入を制御する役割を担うことを明らかにした。また、本中皮細胞を消失することにより、腹腔内部に形成されるリンパ球集積の形成に異常が生じることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腹腔にはマクロファージやリンパ球などの免疫細胞が多数存在するが、腹腔を介した免疫系の役割の多くは明らかにされていない。本研究において、我々が同定した腹膜の特異的な部位に局在する中皮細胞種について解析を行った結果、本中皮細胞が腹腔内における免疫細胞の動態を制御することを示唆する結果を得た。本メカニズムを詳細に明らかにすることで、腹腔を介した免疫系の意義の理解が亢進することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本中皮細胞が白血球の動態を制御するメカニズムを明らかにする目的で、本細胞が分泌する走化性因子(ケモカインや脂溶性小分子など)の関与を検討する。一方、本細胞をより選択的に標的とすることを可能とする遺伝子改変マウスの作製に着手し、そのマウスを解析することで免疫応答における腹腔の役割を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度は研究代表者の所属機関の移動が生じたことから、研究計画を当初のものから大きく変更することを余儀なくされた。次年度使用額及び翌年度に請求予算は新たな所属先における研究の遂行に使用する予定である。
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