2020 Fiscal Year Research-status Report
病態制御に向けたエンドサイトーシス・タイピングによるマクロファージ特異性の解明
Project/Area Number |
19K22534
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中村 教泰 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10314858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 純奈 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10821944)
望月 ちひろ 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80831875)
西尾 忠 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80401892) [Withdrawn]
KIM HYUNGJIN 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80711457) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | マクロファージ / 有機シリカナノ粒子 / エンドサイトーシス / タイピング / 特異性 |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージは生体のすべての組織に存在する免疫細胞で、生体に侵入した様々な異物や病原体、体内で生じた変性物質などを認識し、エンドサイトーシスにより取込んで処理する。マクロファージは生体の恒常性維持、感染など免疫に重要であると共に病態にも関与している。現在、マクロファージは組織マクロファージや疾患関連マクロファージの多様性やタイピングの議論が活発化している。しかしながら、現在のタイピングの方法には限界があり、新たなアプローチが必要とされている。我々は独自の多機能粒子作製技術を駆使しマクロファージのエンドサイトーシスを多角的に検討することでタイピングし、マクロファージの“多様性”の解明を進めると共に“特異性”へと変革することに挑戦する。そして感染など様々な免疫機構に特異的に関与するマクロファージや疾患特異的なマクロファージの同定と制御へと発展させる。マクロファージが関連する感染症やがん、成人病に対してマクロファージ特異性の解明による革新的医療の実現が最終的な目的である。 令和2年度は、作製に成功した様々な大きさと蛍光を持つ多機能粒子の表面に種々の電荷を持つポリマーや低分子化合物を結合させ、培養マクロファージを用いてエンドサイトーシス・タイピングを行った。フローサイトメトリー による粒子に結合する細胞の比率と結合量を測定、粒子の細胞への結合を形態学的・経時的に評価のためタイムラプス顕微鏡、さらには構造化照明法による蛍光顕微鏡観察により3次元所見による粒子の細胞内分布の解析を進めることができた。種々の分子量のポリエチレングリコールを結合した粒子について、その表面に結合する血清タンパク質の分析、そして主要な粒子表面結合蛋白のマクロファージの取り込みへの影響について明らかにできた。詳細な形態学的観察と評価法に進展を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マクロファージのタイピングのため、様々な大きさと蛍光を持つ多機能粒子、さらに粒子の表面に種々の電荷を持つポリマーや低分子化合物を結合した粒子を作製し、その応用を行った。粒子は動的散乱法にてサイズや表面電位熱質量分析にて結合量の評価を行った。種々の分子量のポリエチレングリコールを結合した粒子について、その表面に結合する血清タンパク質の分析、そして主要な粒子表面結合蛋白のマクロファージの取り込みへの影響について明らかにできた。種々の分子量のポリエチレンイミンを表面に結合した粒子とマクロファージとの相互作用や結合量の変化についても明らかになりつつある。さらに種々の大きさのマウス生体内でのリンパ節、脾臓等の臓器における分布の変化も進行している。構造化照明法による蛍光顕微鏡観察と走査型電子顕微鏡観察により細胞の粒子結合と取込みの様式の微細形態の評価と共に光-電子相関顕微鏡法も進行し、相関所見が確認できた。詳細な形態学的観察と評価法に進展を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本年度の成果と共にさらに多種の粒子によりエンドサイトーシスの多様性、そして特異性について慎重に検討をすすめたい。令和2年度に引き続き、粒子の種類を増やしつつ、培養マクロファージを用いてエンドサイトーシス・タイピングを行う。さらにマウスへの経静脈投与による生体内でのエンドサイトーシス・タイピングを進展させる。臓器の組織切片を作製し、蛍光顕微鏡観察で各種粒子の分布評価を行う。さらに数十マイクロメートルの厚みを持つ組織片をScaleCubic法等にて透明化処理し、マクロならびミクロ観察、さらにそれらの中間的なメゾスコピック領域の観察について構造化照明法による蛍光顕微鏡観察で粒子の分布の三次元的観察を行う。さらに電子顕微鏡観察においても培養細胞に加え、臓器レベルにおける精密観察を行う。光-電子相関顕微鏡法による観察を効率化と共に深化させ、集束イオンビーム走査電子顕微鏡による各粒子の細胞内局在の超高解像度の鑑別観察への展開を進める。これらの結果を元にエンドサイトーシスによるマクロファージ特異性の解明の展開を進める。
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Causes of Carryover |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究を実施する。特に生体内での粒子の分布について粒子の大きさや表面構造による変化について精密な形態学的評価を高度化を目指し研究をすすめる。そのためにマウス臓器や培養細胞の観察に必要な費用に使用する。またマクロファージの多様性や特異性の病態への関与についての研究の展開を目指す。そのため病態モデルの構築に向けての疾患モデルマウスや試薬を購入等に費用を使用する。
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Research Products
(11 results)