2020 Fiscal Year Annual Research Report
Whole-life tracing and cell-cell regulation in B cells
Project/Area Number |
19K22538
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
保田 朋波流 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (40334429)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | B細胞 / 免疫老化 / 免疫寿命 / 細胞老化 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では機能分化した細胞を生体内において不可逆かつ選択的に標識することで生涯に渡って追跡する技術を開発し、それら特定の細胞種の前段階である幹細胞や前駆細胞を異なる時系列で区別して標識することで、新旧細胞間での寿命や分化への影響、古い細胞と新しい細胞の入れ替え速度、また細胞機能に影響する新旧細胞間の相互作用を解析することを目指した。同一個体の全く異なる二つの時期に独立してB細胞を不可逆標識するために2種類の異なるマウスラインを新たに作成する予定であった。しかしながら、1系統目のマウス(Mb1CreERT2;R26EYFPflSTOPマウス)を作成し解析の途中で研究代表者が大学を移動することになり、また新型コロナウイルス感染拡大も重なり2系統目のマウス(Flt3-rtTA;R26TR-Dre-RFPflSTOPマウス)の樹立が研究期間内に間に合わなかった。Mb1CreERT2;R26EYFPflSTOPマウスを用いてB細胞をTamoxifen投与により標識し、Cre-loxP組換えで不可逆標識されたB細胞の挙動を追跡し、様々なB細胞群ごとの細胞寿命を半減期を計測することで定量することに成功した。標識したEYFP発現B細胞が免疫系によって拒絶されることが懸念されたが、拒絶に重要なT細胞は活性化されず、標識から180日以上を経過しても標識B細胞が免疫系から拒絶されなかった。このことから分化したB細胞の標識および寿命の絶対計測が本システムにおいて可能であることが確認できた。標識したB細胞を1年に渡って追跡した結果、若齢の間は短期間でB細胞が入れ替わるものの個体の加齢が進むにつれて入れ替わりの速度が低下することがわかった。また抗原に未感作のB細胞がこれまでに考えられていたよりもはるかに長期に渡って未感作のまま生体内に残存することを初めて突き止めることに成功した。
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