2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of molecular mechanisms required for differentiation potential of naive T cells
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19K22547
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
石川 裕規 沖縄科学技術大学院大学, 免疫シグナルユニット, 准教授 (30648621)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ナイーブT細胞 / ヘルパーT細胞 / 分化制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
標的抗原の刺激を受けていない未感作の(ナイーブ)CD4+ T細胞は抗原刺激時の状況に応じて様々なTヘルパー細胞や制御性T細胞へと分化することで免疫の司令塔の役割を果たす。抗原刺激時におけるナイーブT細胞から各種T細胞亜集団への分化を制御するメカニズムが近年の主要な研究対象の一つとなっている一方で、抗原刺激前のナイーブT細胞が多分化能を維持するメカニズムについてはあまり調べられていない。申請者はこれまでに抗原刺激を受けたナイーブCD4+ T細胞において発現誘導される転写因子JunBがT細胞亜集団の分化制御に必須な役割を担うことを明らかにしてきた。例えば、Junb欠損ナイーブCD4+ T細胞は自己免疫疾患の原因となるTh17細胞へと分化する能力を失う。意外にも、Junb欠損ナイーブT細胞のTh17細胞への分化不全は、抗原刺激後すぐにJunB cDNAを導入しても回復しなかった。これらの観察から、JunBが抗原刺激前のナイーブT細胞において、Th17細胞への分化能を維持するために機能する可能性を考えた。興味深いことに、ナイーブCD4+ T細胞において、JunBタンパク質の発現は検出できないにも拘わらず高レベルのJunb mRNA発現が認められた。しかも、RNA-seq解析の結果では、ナイーブCD4+ T細胞において発現するJunb mRNAは、分化したヘルパーT細胞において発現するものとは異なるRNAアイソフォームであることがし察された。このユニークなJunb mRNAのヘルパーT細胞分化における役割を理解するために、これを特異的に欠損するノックアウトマウスを作製した。このノックアウトマウスは異状なく産まれ、健康状態に関しても目立った変化は認められなかった。今後はこのノックアウトマウスの表現型を解析し、ヘルパーT細胞分化の新たな制御メカニズムを明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ナイーブCD4 T細胞に特異的に発現するJunB mRNAに特異的な遺伝子領域を欠損する新たなマウスを作製に成功した。実験に必要なマウス数も得られつつあるので、早急に表現型解析を開始できる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに作製したJunB欠損マウスのナイーブCD4+ T細胞を単離し、Th17細胞を含む各種Tヘルパー細胞および制御性T細胞への分化能を調べる。さらに、 Th17細胞に依存する実験的自己免疫性脳脊髄炎を誘導し、病態およびT細胞の挙動も調べる。新たなJunB欠損マウス由来のナイーブCD4+ T細胞においてTヘルパー細胞への分化能に異常が見られた場合、その原因となる分子メカニズムを明らかにするために、ナイーブCD4+ T細胞においてJunB欠損が遺伝子発現、ヒストン修飾、クロマチン開閉状態に与える影響をRNA-seq、ヒストンChIP-seq、Atac-seqにてそれぞれ解析する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた旅費、学会参加費が不要になったため。次年度使用額を旅費および試薬(フローサイトメトリー解析用の抗体)の購入に使用する予定である。
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