2020 Fiscal Year Research-status Report
Identify host factors that control tumor-host interactions in Drosophila
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19K22550
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中嶋 悠一朗 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (90782152)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍 / 宿主 / 微小環境 / 全身性応答 / ストレス / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
がんは患者を死にいたらしめる重篤症状であり、その進展には腫瘍細胞と宿主の非腫瘍細胞間での相互作用が重要である。本研究では、応募者がショウジョウバエ腫瘍移植モデルを用いて見出した「腫瘍と宿主細胞・臓器間の相互作用」に注目して、宿主個体の局所および全身性応答を制御する分子メカニズムを体系的に明らかにするものである。宿主生体内での非腫瘍組織や細胞での遺伝子発現変化や体液中の代謝産物をオーミクス解析することで腫瘍の進展に関与する宿主側因子を見出す。さらに宿主因子が作用する組織や細胞での遺伝子操作を行い、機能解析を行う。 これまでに、ショウジョウバエ成虫個体へ移植した複数種類のGFP陽性の悪性腫瘍について、腫瘍移植後にみられる腫瘍サイズや個体致死の表現型を見出してきた。また、宿主個体と悪性腫瘍が微小環境を形成することを見出している。また、脳由来の腫瘍が全身に転移する表現型も明らかになった。さらに、腫瘍と相互作用していることが予想された宿主個体における腸管組織や脳組織のRNA-seq解析を行うことで、腫瘍-宿主間相互作用の分子実体の候補を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに、ショウジョウバエ成虫へ任意の腫瘍を移植する実験系を構築して、上皮性の悪性腫瘍(RasV12/Scrib-/-)や脳腫瘍(insc-Gal4>brat-RNAi)を移植して腫瘍-宿主間相互作用を解析してきた。宿主の腸管周辺で過増殖する表現型は腫瘍の種類に限らず観察される一方、脳腫瘍は宿主内で広範囲に転移する、腫瘍に特異的な表現型を見出している。宿主の腸管組織や脳組織を単離して、RNA-seq解析することで、腫瘍移植した宿主に特異的な遺伝子発現変化を解析してきたが、新型コロナウイルスの影響で注目遺伝子の機能解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seq解析で明らかになった、宿主特異的な遺伝子発現変化に注目して、それら遺伝子を操作した個体を作出して腫瘍-宿主間相互作用への影響を機能解析する予定である。一方、新型コロナの影響を受けて遺伝子機能を解析するための系統作製に時間がかかっているため、機能解析の準備をして実行する予定である。また、宿主個体の体液中におけるタンパク質や代謝産物の変化をプロテオームおよびメタボローム解析することで、全身性で働く候補因子を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響でRNA-seq解析や一部の遅れ、さらに候補遺伝子の機能解析が遅れている。 また、予定していた全身性応答を解析するために、プロテオミクスやメタボローム解析にも費用をあてる予定である。
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Research Products
(6 results)