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2019 Fiscal Year Research-status Report

がんに対する養子免疫療法においてT細胞の疲弊誘導を抑制する人工キメラ分子の開発

Research Project

Project/Area Number 19K22552
Research InstitutionAichi Cancer Center Research Institute

Principal Investigator

籠谷 勇紀  愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫応答研究分野, 分野長 (70706960)

Project Period (FY) 2019-06-28 – 2021-03-31
Keywords養子免疫療法 / キメラ抗原受容体 / T細胞疲弊 / 長期生存能 / サイトカイン / PD-1 / JAK-STAT経路
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、腫瘍抗原を認識するT細胞を体外で準備・増殖後、患者に輸注して腫瘍細胞を攻撃させる養子免疫療法の治療効果を高める観点から、T細胞の疲弊回避・長期生存能付与を同時に達成するキメラ分子の開発を目指している。本年度は、長期生存能に関わるサイトカインシグナルの下流分子であるSTAT3、STAT5活性のT細胞機能への影響を中心に検討を進めた。
T細胞リンパ腫で報告されている同分子の活性化型変異体をT細胞に導入したところ、STAT5の恒常的活性化によりT細胞の長期生存能が高まり、STAT3の活性化は抗原刺激に伴うT細胞増殖能を亢進させるものの、長期培養下ではむしろ細胞死を誘導することがわかった。また各変異体を共発現させたキメラ抗原受容体 (chimeric antigen receptor: CAR)導入T細胞を準備し、マウス腫瘍モデルで抗腫瘍効果への影響を観察したところ、in vitroでの長期生存能獲得と合致して、STAT5の恒常的活性化は抗腫瘍効果の改善に寄与することがわかった。そこでキメラ分子の設計にあたっては、免疫チェックポイント分子PD1の細胞外ドメインと、STAT5を活性化できるサイトカイン受容体Aの膜貫通・細胞質ドメインを連結した。さらに、サイトカイン受容体Aのアミノ酸配列にSTAT5の恒常的活性化が誘導されるように変異を加えたキメラ分子を開発した。まず同分子を発現させたT細胞が、PD1のリガンドであるPDL1のライゲーションと関係なく、STAT5の恒常的リン酸化を誘導できることをin vitroで確認した。さらに、同キメラ分子を共発現させたCAR-T細胞は、PDL1陽性腫瘍細胞との共培養下で、コントロールと比較してサイトカイン分泌能、長期生存能に優れており、目的とした機能を誘導できることを確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究計画は、(i) キメラ分子の設計・開発と機能確認、(ii) 開発したキメラ分子の抗腫瘍T細胞におけるin vivoでの機能解析、(iii) キメラ分子導入T細胞の遺伝子発現プロファイル変化の網羅的解析から構成される。初年度においては、キメラ分子の設計、具体的にはPD1と接続させるサイトカイン受容体分子の配列決定と、同キメラ分子が目的とした機能を誘導できるかどうかの確認 (in vitroにおける機能解析)を計画していた。これらを達成できたことから、概ね順調に進行できたと考える。またin vivo腫瘍モデルについても細胞株、治療プロトコールの準備を進めたことから、次年度に同モデルを用いたさらに詳細な機能解析を進める予定である。

Strategy for Future Research Activity

これまでに開発を進めたPD1/サイトカイン受容体キメラ分子をCAR-T細胞と共発現させ、in vivoにおける抗腫瘍効果への寄与を明らかにする。特に、現在臨床において十分な抗腫瘍効果が報告されていない固形腫瘍に対するCAR-T細胞治療モデルを用いて、キメラ分子の効果を評価する。免疫不全マウス(NSGマウス)に、PDL1陽性の固形腫瘍細胞株を皮下注射し、これをCAR-T細胞により治療するモデルを使用する予定とする。治療効果は、腫瘍径、CAR-T細胞の末梢血における生存を経時的にモニターすることで評価を行う。さらに、サイトカインシグナルにより誘導される遺伝子発現プロファイルを、RNAシークエンスを用いて網羅的に解明することを目標とする。
また、STAT3シグナルについては、少なくとも単独の活性化では抗腫瘍効果の増強に寄与しなかったことから開発したキメラ分子においては標的としていないが、抗原刺激下ではT細胞の増殖能を高めたことから、細胞死が誘導されるメカニズムを明らかにして、これの阻害と組み合わせることで、有効なシグナルになり得る。この観点から、STAT3シグナルにより誘導される遺伝子発現プロファイル変化についても解析を行い、T細胞のアポトーシス誘導に関わる遺伝子群に着目して、これらのCRISPR/Cas9によるノックアウトなどによる阻害がT細胞死の回避に有効であるかを検証する。有望な結果が得られた場合、STAT3活性化型CAR-T細胞のin vivoにおける機能評価を進める。

Causes of Carryover

2019年10月に、研究代表者の所属機関の異動があった。これに伴い、本研究に使用する予定であった消耗品の一部については、既に研究室に在庫がある等の理由により購入の必要がなかったことから、次年度使用額が生じた。
翌年度については、当初の研究計画通り、キメラ分子のin vivoにおける機能解析のための免疫不全マウスの購入・維持費、T細胞機能解析のための抗体・試薬購入に使用する。また今年度の研究結果に基づき、追加で作製を試みることとしたSTAT3シグナル誘導型の抗腫瘍T細胞の開発を目的として、T細胞改変のためのCRISPR/Cas9関連試薬購入、遺伝子合成費用に使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Presentation] Genetic manipulation of antitumor T cells to elicit durable clinical response in adoptive immunotherapy2019

    • Author(s)
      Yuki Kagoya
    • Organizer
      SITC 2019 World Immunotherapy Council’s 3rd Young Investigator Symposium
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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