2020 Fiscal Year Annual Research Report
Crosstalk between clonal hematopoiesis and solid tumors
Project/Area Number |
19K22554
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
合山 進 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (80431849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 毅治 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (70511418)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | クローン性造血 / 固形腫瘍 / 腫瘍免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のゲノム解析により、特定の遺伝子変異を持つ異常な血液細胞がクローン性に増殖する「クローン性造血」が、健康な高齢者の血液中にしばしば認められることが明らかになった。さらに最近になって、固形腫瘍患者ではクローン性造血の存在頻度が非常に高く(25-30%)、また、クローン性造血を有する患者の予後は悪いことが判明した。この観察結果は、固形腫瘍の存在やそれに対する化学療法が異常な血液細胞のクローン性増殖を促進し、増殖した異常な血液細胞が今度は固形腫瘍の生存を促進するという、悪性サイクルの存在を示唆している。しかし、クローン性造血と固形腫瘍がどのような相互作用を介してお互いの進展を制御しているのか、その具体的なメカニズムは不明であった。 本研究では、クローン性造血の原因となる変異型ASXL1をRosa26遺伝子座にLox-Stop-Loxカセットと共にノックインしたコンディショナルノックインマウスを、Vav1-Cre (血液細胞でCreを発現)、LysM-Cre (骨髄系細胞でCreを発現)、Lck-Cre (T細胞でCreを発現)と掛け合わせ、メラノーマ(B16F10)、肺がん(LLC)、大腸がん(MC-38)、乳がん(MMTV-PyMT)の4つの固形腫瘍モデルを用いて、変異型ASXL1を発現させて各種血液細胞が固形腫瘍の進展に及ぼす影響を検証した。その結果、T細胞特異的に変異型ASXL1を発現させたマウス内では、固形腫瘍の増殖が亢進することが判明した。また、変異型ASXL1がT細胞の正常な分化を阻害することも見出した。以上の結果は、クローン性造血の原因遺伝子である変異型ASXL1が、T細胞の抗腫瘍効果を変化させることで固形腫瘍の発症・進展を促進している可能性を示唆している。
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Research Products
(7 results)