2019 Fiscal Year Research-status Report
NK細胞レセプターを介した腫瘍の免疫逃避機構の解明
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19K22556
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平安 恒幸 金沢大学, 先進予防医学研究センター, 特任准教授 (30585170)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 免疫逃避機構 / NK細胞 / NK細胞レセプター / 腫瘍細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍細胞には、T細胞の免疫抑制化レセプターであるPD-1やCTLA-4を利用して免疫応答を抑制し、免疫から逃れるような免疫逃避機構があり、近年これらの分子が、がん免疫療法の標的分子となっている。一方で、T細胞だけでなくNK細胞にも腫瘍細胞に対して殺傷能力があるにも関わらず、NK細胞の標的分子に基づいたがん免疫療法の開発には至っていない。これは、NK細胞における免疫抑制化レセプターの役割について、十分な理解がされていないためである。そこで本研究では、最近申請者らが見出した腫瘍細胞を認識する抑制性NK細胞レセプターKIRに着目し、腫瘍の免疫逃避機構の解明を行うことで、新たながん免疫療法の標的分子の開拓につなげることを目的とした。 本年度は、前述した目的を達成するために、NK細胞レセプターと相互作用する腫瘍細胞の探索を行った。そのために、まず様々なNK細胞レセプターのFc融合タンパク質を作製し、様々な腫瘍細胞との相互作用をフローサイトメトリーにより網羅的に解析した。さらに、リガンドを認識するとGFPを発現するレポーター細胞も作製し、リガンドとの相互作用の検証も行った。このスクリーニングによって、2種類のNK細胞レセプターが腫瘍細胞を認識することが明らかとなった。1種類は幅広く腫瘍細胞を認識し、もう1種類は特定の腫瘍細胞を認識した。さらに、従来からNK細胞レセプターのリガンドとしてHLAクラスIが知られているが、両方のNK細胞レセプターは共にHLAクラスIを欠損させても腫瘍細胞を認識したことから、リガンドはHLAクラスI以外である可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NK細胞レセプターのリガンドを発現する腫瘍細胞は特定できたが、その先のリガンドの同定が難航しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
NK細胞レセプターのリガンドを同定するために、RNA-seq、クロマトグラフィー、質量分析等の様々な角度からリガンドの同定を行う。リガンドが同定できたら、リガンドをノックアウトした細胞を作製し、相互作用の検証を行う。
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Causes of Carryover |
NK細胞レセプターのリガンドを同定する実験に時間を要したため。また、予想以上に条件検討に時間を要し、当初の計画通りに十分に進める事ができなかった。 研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、NK細胞レセプターと腫瘍細胞との相互作用を解析するための器具や試薬、培養液等の消耗品に充て、当初の予定通りの計画を進めていく。
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Research Products
(2 results)