2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of molecular mechanism of cancer stem cell niche at the very early stage aiming at cancer prevention
Project/Area Number |
19K22557
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
後藤 典子 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (10251448)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | inflammation / precancerous tissues / NFkappaB / breast cancer / FRS2 |
Outline of Annual Research Achievements |
MMTV-HER2マウスとMMTV-HER2/ Frs2beta-/-マウスの前がん乳腺組織を取り出してスフェロイド培養を行い、トランスクリプトーム解析を行った。Gene set enrichment analysis (GSEA)の結果、MMTV-HER2乳腺スフェロイドにおいて炎症パスウエイの濃縮がみられ、発現レベルがMMTV-HER2> MMTV-HER2/ Frs2beta-/-となる遺伝子のトップリストに多くのサイトカインが見られ、そのうちでもIGF1とCXCL12が重要な役割を果たすことがわかった。さらに、前がん乳腺luminal細胞中で、ErbB2が局在するearly endosomeにFRS2betaとNEMO/IKKgammaが共局在し、NFkappaBを活性化することがわかった。これは、NFkappaBを活性化する新たなメカニズムである。このことによってサイトカインが多く産生され、炎症性の微小環境が構築されることがわかった。ヒトがんでも、超早期のDoctal carcinoma in situ (DIC)の段階の一群にErbB2が強く発現していることが知られている。ここで、FRS2betaが引き金となってNFkappaBが活性化し、慢性炎症様の変化が起きていることが示唆された。 FRS2betaは、腫瘍細胞内ではがん幹細胞に発現していることも示唆されている。FRS2betaは、バイオマーカーとして利用可能かもしれない。今後、臨床応用へ向けて、さらなる解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FRS2betaの乳腺細胞での発現の細胞染色による解析、がん組織内のがん間質細胞量のSMAの染色による解析、移植したがんのtumor initiating ability解析、前がん乳腺内のIGF1, CXCL12の発現の免疫組織染色による解析など、膨大なデータを再解析、定量化、統計処理を行い、ハイインパクトジャーナルのクライテリアにあうデータの作成を行い、論文を投稿した。リバイズとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
リバイズで要求された以下の実験を行っている。腫瘍細胞内でIGF1またはCXCL12をノックダウンした状態で移植を行い、腫瘍細胞から産生されるIGF1やCXCL12の寄与を確認する。腫瘍細胞を通常の皮下に移植した際の腫瘍形成の有無を調べる。NFkappaB阻害剤を複数使用し、IGF1やCXCL12がNFkappaB依存的に産生されることを確認する。前がん乳腺のIGF1とCXCL12を別な抗体で再度染色を行い、これまでのデータを確かめる。NFkappaBの活性化を確認するため、IKKbetaまたはTAK1の局在を調べる。 予後が悪いトリプルネガティブタイプのPDXモデルを用いる。腫瘍細胞を乳腺部位に移植して数日以内の乳腺組織を取り出す。乳腺細胞、間質細胞に分離し、トランスクリプトーム解析、GSEA解析などのパスウエイ解析を行い、鍵分子候補を同定する。エピゲノム解析、メタボローム解析も組み合わせ、前駆細胞存在下にがん幹細胞の増殖を開始させる分子機構を解明する。得られた鍵分子候補については、ノックダウン、CRIPR/Cas9を用いたノックアウト、過剰発現の系などを用いて解析を進める。有望な分子については、評価するPDXモデルをふやし、がん予防もしくは超早期治療薬としての評価を進める。
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Causes of Carryover |
マウスモデルの実験から、新たな知見が得られたため、解析に時間を要している。 その結果、当初行う予定であったヒト検体を用いた実験を次年度に集中的に行うことにした。そのため、ヒト検体の実験に使用予定であった研究費を繰り越すことにした。 繰越た研究費は、ヒト検体の培養、増殖因子、抗体等の用いる予定である。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] The CD44/COL17A1 pathway plays a vital role in the formation of transformed multi-layered epithelia2021
Author(s)
Kozawa K, Sekai M, Ohba K, Gotoh N, Tanino M, Tanaka S, Natsuga K, Soga T, Nakamura T, Yabuta Y, Saitou M, Itoh T, Matsuura K, Tsunoda M, Kikumori T, Iida T, Mizutani Y, Miyai Y, Enomoto A, Fujita Y.
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Journal Title
Curr Biol
Volume: -
Pages: -
Peer Reviewed / Open Access
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