2020 Fiscal Year Research-status Report
リン酸化モチーフ上のがん特異的変異解析から覗く皮膚がん特異的リン酸化シグナル
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19K22569
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
吉崎 尚良 金沢医科大学, 医学部, 講師 (00443490)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | がん突然変異 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞はシグナル伝達経路を混乱させる突然変異の蓄積によりその表現型を獲得する。次世代シーケンス技術の発展は膨大な量の新規がん細胞突然変異の情報を生み出しているが、高頻度な突然変異を除き、ほとんどの変異は、がん組織のゲノム不安定性によりランダムに入るパッセンジャー変異の陰に隠れ、がん化への寄与、機能的役割について調べられずに埋もれている。本課題は、シグナル伝達に重要な役割を持つリン酸化シグナルに注目し、リン酸化シグナル上に入る突然変異を網羅的に評価する方法を提案し、その評価法の有効性を実験的に検証することを目的とする。リン酸化シグナルはキナーゼとその基質(リン酸化サイト)の繋がりで記述できる。キナーゼはヒトで約500しかないが、基質のリン酸化サイトは約20万報告されている。しかもそのほとんどは生理的役割が分かっていない。この機能未知の膨大なリン酸化サイトの数が、リン酸化シグナルに入った変異の解析を複雑なものにしている。そこで本課題はヒトのリン酸化サイトを、その周辺配列の構造から178のリン酸化モチーフに分類し、どのモチーフのどの位置に変異がよく入るのか統計的に調べることで、がんで選択的に入る変異の抽出を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
単一変異では細胞内シグナルの影響が軽微なため有意な差がなかなか出なかったため、複数変異の導入を試みているが変異導入効率が低く時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
in sillico解析を使い、より細胞生理への影響の大きい変異のスクリーニング法を開発し、変異導入実験の手数を減らし効率よくがん変異の同定をしていくことで、がん化に影響する変異の絞り込みを行い、細胞生物学的な検証を行う変異の数を減らすことで、計画の進行を早める。
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Causes of Carryover |
細胞生理学的に有意な影響を及ぼす変異の同定に至っておらず、実験計画が予定通り進まなかったため。次年度はがん突然変異のスクリーニング法を改良することで研究計画の遅れを取り戻す予定である。
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