2019 Fiscal Year Research-status Report
Challenge for elucidation of cross talk between cellular senescence and cell competition
Project/Area Number |
19K22571
|
Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
高橋 暁子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞老化プロジェクト, プロジェクトリーダー (60380052)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 細胞老化 / 細胞競合 / がん抑制 / SASP |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞老化は正常な細胞が持つ重要ながん抑制機構として働く一方で、様々な炎症性蛋白質を分泌するSASP(Senescence-associated secretory phenotype)をおこすことで、がんを誘発する副作用があることが明らかになってきた。近年、正常上皮細胞に発がんストレスが加わると、まず細胞競合によって異常細胞が上皮層から選択的に排除される新しいがん抑制機構の存在が示されつつある。どちらもがん遺伝子の変異が引き金になることから、細胞老化と細胞競合は生体内の同一組織で同時におこっている可能性が高いが、細胞競合の詳細な制御機構はこれまで殆ど知られていない。申請者は、老化細胞が分泌するSASP因子が細胞競合を抑制し、変異細胞の基底膜浸潤を促進することが加齢に伴う発がん頻度の上昇に関与しているという仮説を立てており、その仮説を証明するために、老化細胞が分泌するSASP因子の中から、細胞競合を制御する因子の同定を試みた。MDCK細胞のIn vitro細胞競合モデルを用いて、細胞老化誘導前後の培養上清を添加し競合現象の観察を行ったところ、老化細胞の培養上清では優位に細胞競合を阻害することが明らかとなった。そこで、老化細胞の培養上清中のSASP因子のサイトカインアレイを行い、顕著に分泌量が増加している因子に着目し、それぞれを培養上清に加えることで細胞競合への影響を精査したところ、細胞競合を抑制する可能性をもつ候補因子を同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
老化細胞が分泌するSASP因子の中から細胞競合を阻害する因子の候補を同定し、研究計画はおおむね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
老化細胞の培養上清中のSASP因子中の候補因子が、どのように細胞競合を抑制しているのかその詳細な分子機構の解明を目指して細胞内シグナル伝達経路の同定を試みる。さらに、生体においてもこのシステムががん抑制機構として働いているのかどうかを明らかにするために、マウスを用いたin vivoの細胞競合モデルによって検証を行う。
|
Research Products
(12 results)