2019 Fiscal Year Research-status Report
細胞外小胞の不均質性を可視化するデジタルMSイメージング
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19K22575
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
畠山 慶一 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (20564157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 義昌 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30711155)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 単一細胞解析 / 分泌たんぱく質 |
Outline of Annual Research Achievements |
エクソソームをはじめとした細胞外小胞が、がん領域で重要視されるようになり、その小胞に含まれる核酸やタンパク質の解析が盛んに行われている。しかしながら、がん細胞の不均質性が議論されているにも関わらず、細胞外小胞内容物の不均質性については未知の部分が多い。これは、単一細胞の分泌物を捕捉・可視化できる手法が確立していないことが大きい。単一細胞由来のエクソソームを含む細胞外小胞を解析できれば、細胞外小胞の不均質性についての新たな知見が得られるばかりでなく、細胞外小胞を利用した新規腫瘍マーカー探索に貢献できると考えられる。そこで本研究では、単一がん細胞由来の細胞外小胞に含まれる分子群の可視化に向けたプラットフォームの構築を目指す。 研究分担者と共同で、基板上での抗体固定化方法の最適化を実施した。最終的に単一細胞が分泌していると考えられるタンパク質を蛍光顕微鏡で観察できる系を構築することができた。すべてのがん細胞が均等にタンパク質を分泌していないことを明らかにし、mRNAの発現レベルでも同様の傾向を観察することができた。以上のことから、構築した系は単一細胞由来の分泌たんぱく質を可視化できていると推定される。 しかしながら、現状ではこの系を安定的に構築できるまでに至っていない。また、この系をすぐにMSイメージングへ応用することが難しいことがわかってきた。この課題を踏まえて今後の研究を推し進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
単一細胞由来の分泌たんぱく質を可視化するためのプラットフォームを構築できてはいるが、安定的に構築することが現状できていない。それが研究の進捗を送られている要因の1つになっている。また、日本における新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、今年度に入ってからの実験はだいぶ遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、安定的に分泌たんぱく質を検出できる系の構築方法を模索する。また、AP-SMALDIを用いたイメージングに挑戦する。 また、日本における新型コロナウイルス感染症の終息まで長期間になる可能性を踏まえて、wetな実験だけではなく、dryな解析が可能な環境も整え、別のアプローチでこの研究の推進を図る。
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Causes of Carryover |
基板作成が安定的に構築できておらず、MSイメージングへうまく移行することができなかったため、イメージングで発生する費用に関して計画通りに執行することができなったため。またそれに伴った諸経費等についても当初の予定より減額となったため。
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