2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating diversity of excitatory neurons and neural ensembles in new hippocampal CA2 region
Project/Area Number |
19K22583
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小原 圭吾 関西医科大学, 医学部, 講師 (60740917)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 海馬 / CA2 / 多様性 / 集団性 / 遺伝子組み換えマウス / 神経細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
海馬新CA2は、海馬において最も近年になり出現した領域である(Kohara et al. Nat. Neurosci 2014)。本研究の第一の目的は、海馬新CA2領域において、GCaMP7fを用いたin vivo神経活動イメージングにより興奮性神経細胞の発火特性における多様性解析を行い、その後、機能実験データと解剖学実験データ、形態実験データを総合的にあわせて、「新CA2領域内の新たな細胞」を同定、定義することである。第二の目的は、海馬新CA2領域において、機能面と解剖学的面から集団性を探索して、これまでに明らかにされていなかった「CA2領域内の新たな細胞集団」を見出すことである。 令和3年度においては、コロナウイルスの蔓延の影響により、第一の目的に用いる微小内視蛍光顕微鏡イメージングの実験担当者が研究実施することが困難になった事情があったことから、その状況に柔軟に対処し、第二の目的を重点的に推進し、発展させた。 そして新たに開発された反発分離性遺伝子導入技術「BATTLE」(Kohara et al. iScience 2020)を用いて、海馬新CA2領域における多様性、集団性の兆候の探索的な解析を行なった。また、前年度に引き続き、海馬新CA2領域特異的Creノックインマウス(MAP3K15-Cre)、Cre依存的AAVを用いることによって、CA2からCA2への神経回路の特徴的で非均一的な投射パターン(未発表)における多様性、集団性の解析を行なった。 さらに海馬新CA2領域の多様性、集団性を解明するには、既存技術だけでは困難であることから、多様性解析のための新技術の開発を行い、「BATTLE」技術を活用した遺伝子組み換えマウスの作製を行なった。この新技術が開発された後には、海馬新CA2領域の多様性の解明が大きく進展することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第一の目的は、新CA2領域において、GCaMP7fを用いたin vivo神経活動イメージングにより興奮性神経細胞の発火特性における多様性解析を行い、その後、機能実験データと解剖学実験データ、形態実験データを総合的にあわせて、「新CA2領域内の新たな細胞」を同定、定義することである。第二の目的は、新CA2領域において、機能面と解剖学的面から集団性を探索して、これまでに明らかにされていなかった「CA2領域内の新たな細胞集団」を見出すことである。 令和3年度においては、新CA2領域特異的Creマウス(MAP3K15-Cre)、Cre依存的AAV、「BATTLE」技術等を用いて、総合的に新CA2領域内における多様性、集団性の解析、探索が行われた。さらに海馬新CA2領域特異的Creノックインマウス(MAP3K15-Cre)、Cre依存的AAVを用いることによって、CA2からCA2への神経回路の特徴的で非均一的な投射パターンが見出されている(未発表)。このデータは、新CA2領域における多様性の存在を示唆していると考えられる。既存の技術だけでは、目的を達成することが、困難であるために、多様性解析のための新技術の開発を行い、「BATTLE」技術を活用した遺伝子組み換えマウスの作製が行なわれた。これらの技術により、海馬新CA2領域の多様性の解明が大きく進展することが期待される。これらのことから、総合的に見て、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題において、予想外に捉えられたCA2からCA2への神経回路の特徴的で非均一的な投射パターン(未発表)は、海馬新CA2領域における多様性の存在を示唆している。今後、さらにこの多様性について、総合的に解析、同定、探索を行なっていく予定である。さらに、「BATTLE」技術や「BATTLE」技術を活用した新たな遺伝子組み換えマウス等を総合的に海馬新CA2神経細胞に適用することによって、海馬新CA2領域の多様性と集団性の解明を行なっていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス蔓延のため、一部、行えなかった研究があり、全体的に、研究を次年度に延長する必要が生じたため。
使用計画 CA2領域の多様性についての解析、同定、探索研究および、それらを行うのに適した「BATTLE」技術、「BATTLE」技術を活用した新たな遺伝子組み換えマウスの開発を行うための実験試薬購入や実験動物維持費、研究支援者人件費に使用する計画である。
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