2019 Fiscal Year Research-status Report
非ヒト霊長類広域皮質脳波計測とトップダウン回路操作による自己主体感の神経基盤解明
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19K22584
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小松 三佐子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 研究員 (00525545)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | ECoG / オプトジェネティクス / マーモセット / 神経回路操作 / 前頭前野 / 鳴きかわし / ボーカルコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、霊長類の「自己主体感」に関わる神経基盤を解明することである。非ヒト霊長類であるマーモセットを対象として、大脳皮質全域の神経活動を観察しつつ、同時に前頭葉から聴覚皮質へ至るトップダウン信号を光遺伝学的に操作して増強あるいは減弱させ、その際の音声コミュニケーション行動の変容を観察することで、自己主体感の神経基盤解明を目指す。 上記の実現に向け、初年度は霊長類前頭葉トップダウン回路賦活技術の開発、次年度に同回路抑制技術の開発を行い、最終年度までに音声コミュニケーション行動の変容を観察する計画である。 初年度である2019年度は霊長類前頭葉トップダウン回路賦活技術の開発を行った。ウイルスインジェクションにより前頭葉にChR2を発現させたマーモセットの皮質全域に皮質脳波電極を埋設、前頭前野および側頭皮質に青色LED基盤を留置した。その後、前頭葉の神経細胞の投射先である側頭皮質を光刺激したところ、点灯させた青色LED直近の皮質脳波電極のみに光刺激への応答を観察した。したがって、霊長類大脳皮質のフィードバック回路を賦活することに成功し、かつ投射先の光刺激の影響は投射元に比べて空間的に限局してみられることが示唆された。また、並行して行動観察系の開発を行った。発声中のマーモセットの音声と神経活動を同時計測する系を立ち上げ、皮質脳波の計測を開始し、発声中に聴覚皮質の応答を観察するという試験的な結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デバイスの開発および行動実験系の立ち上げともに順調に推移したため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度である2020年度は前頭葉からの投射を抑制する系の開発を進める。
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Causes of Carryover |
共同研究者の移動に伴い、最終年度である2021年度に行動実験実施のための人件費の支出が見込まれている。そのため、2019年度は他の研究目的で使用した動物を再利用することで、LED電極開発費以外の費用を抑えてできるだけ2021年度の人件費に充てる予算を残す計画である。 同様の理由により2020年度も動物は他の研究目的のものを再利用し、2021年度の人件費に充てる。
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Research Products
(1 results)