2019 Fiscal Year Research-status Report
Cell-basedハイコンテントイメージングと AIの融合による創薬基盤の創出
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19K22591
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高木 朗子 (林朗子) 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (60415271)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞応答ストレス / 化合物スクリーニング / 統合失調症 / フェンサイクリジン |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的1】疾患感受性代謝産物に着目したCell-basedな化合物スクリーニングとAI技術の融合 【目的2】in vivo 2光子シナプス・細胞応答イメージングと同一個体での行動解析 ストレス細胞応答とシナプトパチーに着目し、疾患代謝関連産物とシナプトパチーを軽減する化合物を見出すことは、さまざまな精神疾患に対する新規の治療薬として有用と思われる。なぜならば、シナプト障害の原因は単一因子に起因するものではないし、また酸化ストレス産物や終末糖化産物(AGE)も様々な分子により酵素的・非酵素的に複雑な制御をうけるため、単一の分子に着目したスクリーニングには限界があり、細胞全体の表現型に着目した化合物スクリーニングが今後必要となってくると思われる。しかし細胞の形態や、有害な終末糖化産物(AGE)がどのような細胞内局在で蓄積するかなどの複雑な画像情報を手動の画像解析で定量することは困難である。そこで、教師ありのDeep learning手法を用いて、上記の複雑な細胞全体の表現系を自動定量するための、AI創薬手法の確立を試みる。このスクリーニング系を用いて、糖化ストレスによるシナプス減少や有害な終末糖化産物を緩和させる低分子化合物をスクリーニングする。またこのようなストレス応答が実際に、如何なる脳領域、細胞種、細胞内局在で生じるかを検証するために、in vivo 2光子イメージングを行い、上記で見いだされた化合物が実際に脳保護効果を持つかを検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【目的1】に関してh、深層学習によって、画像に潜む局在パターンを学習する方法論を構築し、評価した。17,960枚のサンプル画像を用いて、1色の微弱なパターン(点源)を学習するアーキテクチャを、まずは単純な例として作った。Sadr et al. 2018を参考に、画像の微弱な点源のパターンを同定し強調するようにGPUを用いて学習させた。具体的には、画像の点源のxyzを予め同定しておき、この位置を中心とするガウス関数で元の画像の点源をenhanceした画像データを教師データとした。元の画像から深層学習のモデルにより予測した画像と、教師データの画像の損失を小さくするようにモデルを決定した。全画像の9割を訓練用に用い、残りの1割で検証が可能になった。これにより、新たな画像を入力したときに、訓練したモデルからパターンを推定することができる。結果としては期待通りに微弱なパターンが同定しやすくなったが、余計な箇所も強調されてしまうことも確認された。【目的2】に対しては、in vivo 2光子イメージングを行う前に、糖化ストレス状態を惹起したマウスの全脳をAGE染色し、2光子イメージングで見るべき脳領域を同定した。
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Strategy for Future Research Activity |
【目的1】上記の方法により、新たな画像を入力したときに、訓練したモデルからパターンを推定することができる。結果としては期待通りに微弱なパターンが同定しやすくなったが、余計な箇所も強調されてしまうことも確認された。学習で決定すべきハイパーパラメータの調整も十分ではないので課題となっている。ここでのハイパーパラメータはガウス関数の半値幅やバックグラウンドとの調整項などである。また、画像の前処理が結果に大きな影響を与えているので、適切な規格化をさらに徹底する必要がある。なお、ライブラリとしてTensorFlowを導入する予定であったが、高速で使い勝手の良いPyTorch 1.2.0に変更した。今後は細かな課題をクリアし、より実際的な問題に応用する予定である。 【目的2】同定した脳領域に対して、in vivo 2光子イメージングによりスパイン動態を観察し、その後に、脳を固定し、酸化ストレス・糖化ストレス応答を免疫染色で確認していく。
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Causes of Carryover |
FY2019・3月はCOVID-19のため実験ができず、マウス、ラット購入分が予定より減少した。FY2020に実験ができるようになった時点で、本研究に集中し、FY2019で減少した実験分もFY2020に行うため、交付内定額はFY2020中に適切に使用できる。
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