2020 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍内微小環境依存的な浸潤を通じて放射線治療後のがん再発を起こす責任遺伝子の探索
Project/Area Number |
19K22595
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原田 浩 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80362531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森鳰 章代 京都大学, 生命科学研究科, 研究員 (20722648) [Withdrawn]
小林 稔 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (40644894)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | がん / 放射線治療 / 再発 / 浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAマイクロアレイ解析と定量的RT-PCRによって、低酸素環境下でmRNAレベルが約35~40倍上方制御され、細胞の遊走・浸潤能を亢進する新規遺伝子Xを見出した。この遺伝子発現誘導は、HIF-1の調節サブユニットHIF-1αをサイレンシングすることによって有意に抑制され、逆にHIF-1α恒常活性化型変異体HIF-1α 3Aの発現ベクターを導入することで通常酸素環境においても有意に促進された。次に新規遺伝子Xのプロモーター依存的にルシフェラーゼを発現するレポーター遺伝子を用いて、HIF-1α 3A変異体を過剰発現した場合に、新規遺伝子Xのプロモーター活性が誘導されることを見出し、新規遺伝子Xの転写開始が確かにHIF-1の制御下にあることを明らかにした。新規遺伝子Xの転写開始点から上流のプロモーターを含んだレポーター遺伝子はHIF-1依存的にルシフェラーゼ発光を呈したが、転写開始点上流を除いたレポーター遺伝子はHIF-1依存性を示さず、-42~+1のプロモーター領域にHIF-1依存性を担うエンハンサー配列HREが存在することが予想された。最後に、新規遺伝子Xががんの浸潤を誘導するかを検証するため、ボイデンチャンバーを用いた浸潤アッセイを実施した。その結果、がん細胞が低酸素環境下において浸潤能を獲得すること、そして新規遺伝子Xをサイレンシングした場合にその低酸素依存的な浸潤性が有意に阻害されることを確認した。これらの結果は、新規遺伝子Xの発現が転写開始レベルで低酸素誘導されること、およびHIF-1依存的な新規遺伝子Xの活性化が低酸素環境におけるがんの浸潤で重要な機能を果たしていることを示している。
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Research Products
(7 results)