2021 Fiscal Year Research-status Report
Jagged1遺伝子発現を制御する筋ジストロフィー治療薬の探索
Project/Area Number |
19K22604
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | 筋ジストロフィー / Jagged1 / ゼブラフィッシュ / ドラッグスクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、Notchシグナル活性化因子であるJagged1を発現制御する薬剤の発見を目的としている。最近の筋疾患研究の報告で、ジストロフィン完全欠損のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のモデル犬において、突然変異によりJagged1遺伝子の発現が亢進している系統では、重篤な症状を呈さないことが明らかとなった。さらにDMDゼブラフィッシュモデル、sapjeで特徴的に見られる異常な筋線維構造がJagged1遺伝子の強制発現により改善することが示され、Jagged1の発現が筋再生と関連していることが報告された。これはJagged1-Notchシグナルの活性化が、未だ治療法が確立されていないDMDを始めとする筋ジストロフィーの新規治療法の開発へとつながると考え、本研究課題を計画立案した。 これまでの研究の実施により、作製されたjagged1-トランスジェニック(Tg)ゼブラフィッシュは、主に脳、脊髄においてEGFPシグナルが強く観察され、EGFPシグナルにより間接的にjagged1の発現が観察されることが確認されている。これらを用いて、jagged1の発現をコントロールする薬剤のスクリーニングを行った結果、1,280個の薬剤ライブラリーの中からゼブラフィッシュjagged1の発現を亢進する8種類の薬剤を見出した。2021年度は、ゼブラフィッシュjagged1の発現を亢進する薬剤として同定された治療候補薬剤の効果ついて解析することが主な目的である。DMDモデルゼブラフィッシュとして知られるsapjeは、稚魚の段階で特徴的な異常な筋線維構造を示すが、これらの薬剤の投与によりその筋組織の構造異常の改善に効果があるかどうかについて解析を行った。その結果、得られた候補薬剤を投与した個体のうち、その改善効果が確認できた薬剤が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでのところ脳、脊髄でEGFPの発現が強く観察され、筋組織においてもその発現が確認されるjagged1トランスジェニックゼブラフィッシュが得られ、それらを用いた薬剤スクリーニングを行なった。1,280個の薬剤ライブラリーの中から8個の候補薬剤が得られており、その薬剤の効果について現在解析中である。それらの薬剤効果の解析は、DMDモデルゼブラフィッシュ, sapjeを用いて行っている。ジストロフィンタンパク質を欠損しているsapjeが示す表現型である筋組織の構造異常の改善に効果があるかどうかについて解析した結果、得られた候補薬剤を投与した個体のうちその改善効果が確認できた薬剤が見出された。コロナ禍で研究活動自体に制約があり、延長措置をいただいているため進捗状況としては遅れているが、動物モデルを作製し、薬剤スクリーニングにより候補薬剤を見出すという本来の計画においては、本研究課題については、現在のところ計画通り達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、昨年度、jagged1トランスジェニックフィッシュを用いたjagged1の発現制御物質のスクリーニングにより得られた候補薬剤について研究を進める。1,280個の薬剤のスクリーニングから得られたjagged1の発現に影響を与える薬剤を解析することにより、jagged1との関連を明らかにしjagged1遺伝子の発現に関連した筋ジストロフィーの治療法開発に役立つ分子の新規発見をめざす。
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Causes of Carryover |
2021年度は、新型コロナウイルスの蔓延により、研究室での活動が一部行えなかったことと、国際学会への参加が無かったことが、2022年度に延長をお願いし使用額を生じた理由である。使用計画としては、主に研究成果の発表を行い、国外で行われる国際学会への参加(参加登録費、旅費等)のために使用し、さらに本プロジェクトに使用する試薬、抗体の購入、作製を予定している。
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Research Products
(5 results)