2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation for hidden cancer predisposition in pediatric cancer
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19K22608
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
加藤 元博 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 小児血液・腫瘍研究部, 診療部長 (40708690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋渡 光輝 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40597126)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「小児がん発症者のがん細胞にみられる遺伝子変異は、一定の割合で正常細胞 に低頻度モザイクとして存在する生殖細胞系列細胞バリアントに由来する」という仮説の もとに、小児がん患者において低頻度モザイクでがん関連遺伝子にバリアントを持つ"隠れ cancer-predisposition"の頻度を探索することを目的とする。 まず、「小児がん治療終了後の二次がん患者」の31名の寛解期検体を収集し、網羅的に遺伝的背景を把握する目的で、充分な解析深度を確保したうえで全エクソン解析を中心としたゲノム解析を実施した。5名の患者でがん関連遺伝子のバリアントを生殖細胞系列で検出した。さらに、一次がんがALLの症例に限定すると、14例中6例(43%)でNUDT15のバリアントを認め、6MPによるDNA傷害作用が過剰となり二次がんの誘因になったことが示唆された。 また、小児がんの一つであるラブドイド腫瘍に着目し、16例についてSMARCB1遺伝子を集中的に解析し、変異を全例で確認したうえで、その由来についてddPCRなどを用いてわずかな変異も検出する精密なゲノム解析手法を用いて探索した。その結果、従来の解析では見逃されていた5%以下の割合での低頻度モザイクでの変異を3例で検出し、合計8例(50%)においてSMARCB1変異が生殖細胞系列に由来することを明らかにした。生殖細胞系列に変異が由来する患者には発症年齢が5歳を超える患者も含まれていた。この成果により、小児がんの病態における遺伝的背景の重要性があらためて確認された (Shirai R et al. Eur J Hum Genet 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児がん発症者を対象として変異を鋭敏に検出可能な解析系を確立し、ゲノム解析を通じて計画していた仮説通りにモザイク変異を持つ「隠れcancer predisposition」がいることを示すことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多数例の小児がんを対象に同様の腫瘍を用いて解析を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品購入の際の割引のため残額が生じた。次年度に消耗品として使用することで、研究をより効率的に進める。
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Research Products
(3 results)