2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study to elucidate the mechanism of intracerebral heorrhage induced by collagen-binding Streptococcus mutans and to develop a novel preventive therapy
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19K22610
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
猪原 匡史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (00372590)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 和彦 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (00379083)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 脳内出血 / ミュータンス菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳出血は全脳卒中の20%程度を占め、比較的発症する年齢が若く、症状が重篤となりやすいことが知られている。脳出血は高血圧や糖尿病などの生活習慣病と関わりが深いが、それだけでは説明できない部分が多く、未知の要因があると考えられてきた。我々は既に、脳出血患者にはcnm陽性ミュータンス菌を持つ割合が多く、脳のMRI画像で観察できる微小な脳出血の跡が多いことを明らかにしていた。謂わばこの「悪玉むし歯菌」を、我が国では5人に1人程度が口の中に保有しているが、実際にこの菌の保有者の脳内で微小な脳出血が増えていくのか、経時的な変化は明らかになっていなかった。 そこで、脳卒中で当センターに入院した患者から同意を得て歯垢を採取し、その中に含まれるミュータンス菌を培養し、cnm陽性ミュータンス菌と経時的な微小脳出血の出現率の関係を調査した。その結果、cnm陽性ミュータンス菌が歯垢中から検出された患者では、そうでない患者と比較して、微小脳出血の出現率が4.7倍高いことが明らかになった。この「悪玉むし歯菌」は、生活習慣や年齢の影響によってほころびが出た脳血管のコラーゲンに接着し、炎症を起こし、出血を止める血小板の働きを抑制することで脳出血を引き起こすのではないかと考えられている。 今回、cnm陽性ミュータンス菌と脳出血との関係を明らかにできたことから、脳卒中の機序の解明に寄与するものと考えられた。現在、cnm陽性ミュータンス菌によって脳出血が引き起こされるメカニズムを探索する基礎研究や、国内15施設と協力して進めている多施設前向き研究、アフリカ、東南アジアを含む世界中の他人種・地域における本菌の役割を検討する国際共同観察研究を実施している。我が国では欧米諸国と比べてまだまだ脳出血が多く、口腔内の悪玉むし歯菌を減らすために、口の中を清潔にすることが有効であると考えられる。
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