2019 Fiscal Year Research-status Report
High-throughput verification of pathways regulating kidney diseases
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19K22628
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松阪 泰二 東海大学, 医学部, 教授 (50317749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅津 光央 東北大学, 工学研究科, 教授 (70333846)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ポドサイト / 腎臓病 / 遺伝子改変 / 低分子抗体 / ガイドRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、腎臓病の鍵をにぎるポドサイトにおける遺伝子機能解析のために、CRISPR/Cas9技術を応用して、効率よくマウス個体内のポドサイトに遺伝子変異を導入する技術を開発する事をめざす。CRISPR/Cas9技術は、遺伝子改変マウスの作製を飛躍的に簡便にしたが、それでもfloxマウスとCreマウスや傷害モデルマウスとの交配に約2年の歳月が必要である。これを回避するため、ポドサイトでCas9発現マウスを作成しておき、そこに任意の遺伝子を標的とするガイド(g)RNAを投与する事により、体細胞レベルでの遺伝子改変を短期間に行う事をめざす。ポドサイトにgRNAを送達させるにあたり困難な点は、ポドサイトが大分子の通過を阻止する糸球体基底膜により血流から隔絶されていて、ウイルスベクターやナノパーティクル等通常の体細胞への送達方法が使用できない事である。そこで本研究では、糸球体基底膜を透過可能で、かつポドサイトとRNAに結合する低分子抗体を開発し、キャリアとして用いる。この技術の確立が本研究の主目的である。さらに、導入したポドサイトの遺伝子変異が、その後に誘導する傷害に与える影響を解析し、ポドサイト傷害の進行を阻止できる制御点を探索する事をめざす。 また限定された研究期間を考慮して、方法論の確立に重点をおき、本年から対象細胞を拡張し、尿細管細胞においてCas9を発現させ、そこにgRNAを送達させ、遺伝子変異を誘導する事もめざすことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) Cas9 knock-inマウス (Cre発現細胞でCas9を発現する) (2) Nephrin-Creマウス (3) NEP25マウス (4) Ribotagマウスの交配をすすめ、NEP25/Nephrin-Cre/Cas9 KI/Ribotagマウスが再生産されるコロニーを樹立した。このマウスは、ポドサイトにCas9とhCD25を発現し、hCD25を標的とするイムノトキシンLMB2で選択的に傷害され、またポドサイトのリボゾームにHAが付加され、免疫沈降によりポドサイトRNAの採取が可能である。このマウスから初代培養ポドサイトを得て、gRNAを導入する事により、EGFPやnephrinの遺伝子変異の導入が可能である事を確認した。 生体内でポドサイトへgRNAを送達させる担体として、低分子抗hCD25抗体にカチオンペプチドを融合したものを設計し、合成した。現在hCD25発現細胞でのRNA送達能の解析中である。 また、変異導入細胞を尿細管細胞へと拡張する事を新たに計画した。そのため、Cas9 KIマウスをSix2-CreERT2と交配し、妊娠中にtamoxifenを投与して、尿細管にCas9を発現するマウスを得る事をめざした。Tamoxifenの投与方法を試行錯誤し、モザイク状ながら多くの尿細管細胞でCas9を発現させる事ができた。gRNAの送達方法として、protamineとlysozymeを試したが、Cy3-RNAの尿細管への送達は確認できなかった。一方、腎盂から34G針を刺入し、直接腎臓にRNA溶液を注入した後、electroporationをかける事により、尿細管に広くRNAを導入させる事が可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
ポドサイトへのgRNAの担体の検証を行い、hCD25発現細胞へRNAの取り込みが確認されたら、NEP25マウスにおいて、蛍光ラベルRNAのポドサイトへの送達を検証する。次に、NEP25/Nephrin-Cre/Cas9 KI/Ribotagへ、EGFPに対するgRNAを担体とともに投与し、EGFPの発現消失を確認する。さらに、nephrin等既知の代表的ポドサイト分子の変異の誘導を試み、nephrinタンパク質の消失と、蛋白尿の出現を確認する。これらの検証を経た上で、未知の遺伝子の機能解析を行う。最初に検証する遺伝子は、転写因子Dach1を想定している。 尿細管での遺伝子変化は、Cas9 KI/Six2-CreERT2マウスを妊娠中のマウスにtamoxifenを投与して、帝王切開で得た産児を成長させ、尿細管でCas9を発現するマウスを得る。このマウスの腎臓に、EGFPに対するgRNAを注入し、electroporationを行い、EGFPの消失を確認する。さらに、代表的尿細管分子であるmegalinの変異を試み、megalinタンパク質の消失を確認する。これらが達成されたら、次のステップとして、現在のところPkd1遺伝子による嚢胞腎モデルの作成などと想定している。
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Causes of Carryover |
人件費年間60万円は、研究支援者の雇用(2ヶ月分)に使用される予定だったが、次年度の人件費年間60万円と合算して、ガイドRNAのマウスへの投与、採尿、糸球体採取、組織標本作製の業務を行う研究支援者の雇用(4~5ヶ月分)として使用する計画である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Proximal Tubule Autophagy Differs in Type 1 and 2 Diabetes2019
Author(s)
Sakai S, Yamamoto T, Takabatake Y, Takahashi A, Namba-Hamano T, Minami S, Fujimura R, Yonishi H, Matsuda J, Hesaka A, Matsui I, Matsusaka T, Niimura F, Yanagita M, Isaka Y.
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Journal Title
J Am Soc Nephrol
Volume: 30(6)
Pages: 929-945
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Metabolic effects of RUBCN/Rubicon deficiency in kidney proximal tubular epithelial cells2019
Author(s)
Matsuda J, Takahashi A, Takabatake Y, Sakai S, Minami S, Yamamoto T, Fujimura R, Namba-Hamano T, Yonishi H, Nakamura J, Kimura T, Kaimori JY, Matsui I, Takahashi M, Nakao M, Izumi Y, Bamba T, Matsusaka T, Niimura F, Yanagita M, Yoshimori T, Isaka Y.
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Journal Title
Autophagy
Volume: -
Pages: 1-16
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Autophagy protects kidney from phosphate-induced mitochondrial injury2019
Author(s)
Fujimura R, Yamamoto T, Takabatake Y, Takahashi A, Namba-Hamano T, Minami S, Sakai S, Matsuda J, Hesaka A, Yonishi H, Nakamura J, Matsui I, Matsusaka T, Niimura F, Yanagita M, Isaka Y.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun
Volume: S0006-291X(20)
Pages: 30220-5
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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