2020 Fiscal Year Annual Research Report
PCSK9によるLDL受容体の細胞内輸送経路変更の分子機構
Project/Area Number |
19K22632
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀内 久徳 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90291426)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | PCSK9 / 低比重リポ蛋白質受容体 / 家族性高コレステロール血症 |
Outline of Annual Research Achievements |
低比重リポ蛋白質(LDL)の受容体(LDLR)の遺伝的欠損は家族性高コレステロール血症(FH)となる。LDLが結合した細胞膜上のLDLRはエンドソームに小胞輸送される。エンドソームでLDLRとLDLは解離し、LDLRは形質膜にリサイクルされ、LDLはリソソームに運ばれ分解される。Proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 (PCSK9)が細胞外でLDLRに結合すると、LDLRがエンドソームから形質膜へリサイクルされず、リソソームへ運ばれ分解される。その結果、LDLR量が減少し、LDLの細胞内取り込み量が減少するため血清LDL値が上昇する。FHの約10%はPCSK9の変異が原因である。また、PCSK9阻害抗体が診療現場で用いられている。 臨床的にも重要なPCSK9であるが、LDLR輸送をリサイクル経路からリソソーム経路に変更させる分子機構についてはほとんど不明である。本研究ではこのPCSK9の 作用機構を分子レベルで解明することを目的し、以下を進めた。 (1)細胞内発現阻害抗体スクリーニングによる責任分子の同定: 1本鎖で免疫グロブリンとなるラクダ科免疫グロブリンである免疫グロブリンライブラリーよりいくつかの蛋白質に対する特異抗体を得ることが出来た。本システムが機能することを確認できた。また、ナノボディを細胞に発現させる条件の最適化を進めた。(2)LDLR結合蛋白質の解析:報告されているLDLR結合分子の中にはLDLRのリサイクルに重要ないくつかの分子も含まれている。一部の因子に対する遺伝子操作にて、LDLRのリソソーム輸送に対する効果の解析を行ったが影響は得られず、現在、他の因子を対象に、解析を進めている。
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