2020 Fiscal Year Annual Research Report
Thrombopoietin応答チューニングを基軸とした試験管内造血幹細胞増幅法
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19K22641
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
梅本 晃正 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (50620225)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
5-FU投与後のマウス骨髄中にて自己複製分裂を行う造血幹細胞に着目して、詳細な解析を進めたところ、当該時期の造血幹細胞分画においては、EPCRの発現が高い細胞が、未処理時及び分化分裂時の造血幹細胞よりも多く存在していた。さらに、自己複製分裂期の造血幹細胞をTPO存在下で培養したところ、定常状態時の造血幹細胞と比較して、TPO依存的に誘導されるCD48陽性前駆細胞や巨核球の産生が著しく抑えられ、培養後も比較的幹細胞性が維持されていた。さらに、興味深いことに、未処理マウス由来のEPCR強陽性造血幹細胞を培養したところ、同様にCD48陽性前駆細胞等の産生が著しく抑えられ、培養後も比較的幹細胞性が維持されていた。一方で、EPCR弱陽性造血幹細胞をTPO存在下で培養すると、TPO依存的に誘導されるCD48陽性前駆細胞のほかに、巨核球用の細胞が多数誘導されるが、培養後は幹細胞性を著しく失っていた。さらに、EPCR強陽性造血幹細胞はTPO存在下で、EPCR弱陽性造血幹細胞を産出するが、EPCR弱陽性造血幹細胞はEPCR強陽性造血幹細胞を生み出すことが出来なかった。従って、TPOが幹細胞に対して、幹細胞維持・自己複製、及び分化の両方の効果を示す原因としては、幹細胞集団の不均一性、すなわちEPCR弱陽性造血幹細胞とEPCR強陽性造血幹細胞のTPOへの応答の違いの結果であり、TPOによる造血幹細胞自己複製はEPCR強陽性造血幹細胞によって、TPOによる分化はEPCR弱陽性造血幹細胞、又はEPCR強陽性造血幹細胞がEPCR弱陽性造血幹細胞に変換した後に誘導されることと考えられた。
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Research Products
(2 results)