2019 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー制御分子による核内受容体の新規調節メカニズムの全容解明
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19K22643
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
柴田 茂 帝京大学, 医学部, 教授 (60508068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 具樹 帝京大学, 医学部, 教授 (60203973)
藤垣 嘉秀 帝京大学, 医学部, 教授 (20283351)
石澤 健一 帝京大学, 医学部, 講師 (10772684)
諏佐 崇生 帝京大学, 医学部, 助教 (20445852)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | ステロイド受容体 / リガンド / 局所制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
核内受容体ファミリーに属するミネラロコルチコイド受容体(MR)の作用は血圧調節や電解質調節など多面的であり、そのシグナルは細胞選択的に制御されていると考えられる。我々はこれまで、ULK1によるMRのリン酸化がMRの活性を修飾し、腎臓においてpendrinの作用を調節することを主に動物モデルを用いて報告してきた。当該メカニズムのヒトにおける役割を明らかにすべく、臨床尿サンプルよりエクソソーム分画を単離して解析を行っている。尿エクソソーム分画は電子顕微鏡を用いた形態学的検討とマーカ分子により確認され、少数例を用いた予備検討では、高血圧疾患患者の治療前後でpendrinがdynamicに変化することが明らかとなっている。
また、ビタミンD受容体(VDR)は腎臓において遠位尿細管に高発現しており、骨代謝作用のほか細胞分化やオートファジー制御なども報告されている。VDRの作用には活性型ビタミンD (1,25D3)が中心的な役割を担うが、その一方で、25(OH)D3(25D3)は1,25D3よりも高濃度で安定的に存在しており、25D3自体もVDRに結合しビタミンD活性を発揮する可能性が指摘されている。VDRシグナルの活性制御機構を明らかにするため、CRISPR-Cas9を用いて1α位水酸化酵素を欠損したCyp27b1ノックアウトmDCT細胞を樹立した(Kikuyama et al. J Steroid Biochem Mol Biol 2020)。細胞内で1,25D3を合成されないことはLC-MS/MSで検証され、本細胞に生理的濃度の25D3を添加したところ、VDRの核内移行と標的遺伝子の発現誘導が確認された。microarray解析では1,25D3と25D3の標的遺伝子群には類似性が認められ、25D3が遠位尿細管において1,25D3と同様の生理的作用を果たす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトにおけるMRの多面的作用のメカニズムの一端が明らかになりつつあり、この機構はで電解質調節作用と昇圧作用とのバランスを制御しているものと考え検討をすすめている。また、VDRシグナルのバックアップ機構として25D3が一定の役割を果たす可能性が示された。疾患モデル動物を用いた解析も2020年度には開始できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
高血圧関連疾患における当該メカニズムとクリニカルパラメータとの関連の解析を行うとともに、基礎的検討を併用して分子生物学的検討を行う。
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Causes of Carryover |
疾患モデル動物の作成と解析を2019年度に開始する予定であったが、遺伝子改変動物の供給の関係で本年度は臨床サンプルの解析を優先し、執行額に差異が生じた。2020年度は動物モデル・細胞実験などの基礎的検討を中心に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)