2023 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍クローンの追跡に基づいた肺癌治療体系構築への挑戦
Project/Area Number |
19K22650
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉野 一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40281547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 崇裕 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20400913)
鈴木 秀海 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (60422226)
田中 教久 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80732461)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 肺癌術後再発 / 腫瘍由来遺伝子変異 / 次世代シーケンサー / cell free DNA / circulating tumor DNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、臨床IB-IVA期肺癌患者の循環腫瘍クローンの検出によるmolecular stagingの可能性を示し、さらに治癒切除された後のmolecular recurrenceを検出して術後再発との関連を示すことを目的に、手術予定の肺癌患者を前向きに登録し、術後再発を認めた患者について、その経過中に採取した血漿より抽出したDNAを使用して次世代シーケンサーによる遺伝子変異解析を行った。最終的に3症例14検体からcell free DNAを抽出し、肺癌パネルを用いた次世代シーケンサーによる解析を行なった。抽出したDNAの量および質はバイオアナライザーにて解析し、1検体を除き、解析には十分なものであった。検出した各遺伝子変異についてはVAF(Variant allyl frequency)値により検証した。VAF値が99%に近い遺伝子変異は体細胞由来の変異、VAF値が50%程度の遺伝子変異は胚細胞由来の遺伝子変異と判断し、非体細胞・非胚細胞由来の遺伝子変異に着目した。結果は、各定点で採取したサンプル間で共通して検出される非体細胞、非胚細胞由来の遺伝子変異は数個~10個程度検出されたが、解析前に想定していた、”術前にVAFが高く、術後に低下し、再発前に再上昇してくる遺伝子変異、いわゆる腫瘍クローン”は確認できなかった。一方で、TP53やERBB2といった遺伝子の変異は各症例の各サンプル間で共通して見られることが多かった。これらの潜在的な遺伝子変異が、癌の再発や転移に寄与する可能性が考えられた。本研究は、前向きな症例収集であり、結果的にEGFR exon19 delなどの治療標的となるようなCommon mutationがない症例での解析となった。このような症例が含まれていれば、より明瞭にmolecularな追跡が可能であろうと考えられた。
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