2022 Fiscal Year Annual Research Report
高圧処理化自家皮膚組織の”自己体内再生型”血管補填材料としての応用
Project/Area Number |
19K22667
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山南 将志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30438204)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 哲二 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (50243126)
神田 圭一 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60295649)
井上 知也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (50405289)
坂井 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10298432)
夜久 均 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50295648)
上 大介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80415588)
五條 理志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90316745)
田中 秀央 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60236619)
田地川 勉 関西大学, システム理工学部, 准教授 (80351500)
井田 夕紀子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (00459504)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
|
Keywords | 血管移植片 / 組織工学 / 皮膚組織 / 高圧処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、生体適合性があり、抗血栓性に優れ、成長の可能性を秘めた理想的な血管補填物を開発することである。これを達成するため、形成外科で臨床試験が行われている皮膚高圧処理技術に着目し、皮膚組織を採取して高圧処理を行った後に自家移植用血管壁パッチ材料として使用するという新しいアプローチで血管壁移植片の開発を行った。 予備実験では、ブタ皮膚を高圧処理したシート状の組織をビーグル犬の頚動脈に異種由来移植片としてパッチ移植した。高圧処理後の皮膚組織は、動脈圧に十分耐える強度を持ち、血管壁移植片として機能していた。術後超音波検査では、血管の開存性は良好であり、パッチ内腔面は平滑で、瘤化の所見は見られなかった。移植後一定期間経過した移植片を摘出したところ、周囲との癒着は軽度であり、内腔面が非常に平滑で血栓の付着もなく、組織学的評価では細胞浸潤が認められた。 自家移植モデルとして、ビーグル犬皮膚組織を採取し高圧処理を行った後、同一のビーグル犬の頚動脈にパッチ移植した。移植操作は通常の血管吻合操作と同様に行え、術後超音波検査では血管の開存性が良好で、皮膚組織パッチ部分の瘤化は見られなかった。移植後一定期間経過してから移植片を摘出したところ、パッチ組織内腔面は非常に平滑で血栓形成も見られなかった。また、組織学的評価ではパッチ組織内への細胞浸潤が確認され、エラスチン形成も観察された。さらにパッチ内腔面は内皮細胞で覆われていた。対照群として、ビーグル犬の頚静脈を一部採取し、同じビーグル犬の頸動脈に静脈壁をパッチ移植した。移植後の開存性は良好であったが、パッチ部分に瘤化が見られた。 本研究により、ビーグル犬皮膚を高圧処理した組織は静脈パッチと同等もしくはそれ以上の機能を有する血管移植片として有用であることが示された。この結果より、理想的な血管補填物の開発において新たな可能性を示すことができた。
|
Research Products
(4 results)