2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K22699
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小笠原 康悦 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (30323603)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | がん |
Outline of Annual Research Achievements |
がんの免疫療法は、細胞傷害活性をもつT細胞やNK細胞を対象に、その活性化を目的として開発されてきた。免疫チェックポイント阻害薬の登場により、T細胞の抑制の解除が、結果として、T細胞の活性化につながり、がんを攻撃できるようになる。このように、T細胞の抑制分子を阻害する免疫チェックポイント阻害剤が効果を挙げているが、現在奏効率が20%程度であり、より効果的な治療法が望まれている。そのためには、がん特異的な免疫反応が必要である。応募者らが開発した第3世代T細胞受容体レパートリー解析技術を用いて、細胞に「がん特異性」という能力を付与することにより、難治がんを攻撃する新しいがん免疫療法の基盤確立を目的とした。そこで、がん特異的T細胞受容体を活用した方法の開発を試みた。T細胞受容体は、B細胞受容体と同様に、特異性は非常に高い。しかし、T細胞受容体は、B細胞受容体に比べ抗原への結合力が低く、抗体のように利用するためには工夫が必要である。そこで、T細胞受容体のV‐J領域と抗体のFc部分を結合し、さらに、α鎖とβ鎖のヘテロダイマーとなるように工夫した可溶型T細胞受容体を作成した。可溶型T細胞受容体を抗体のように用いて、標的細胞への結合を検討した。MHCクラスIを発現した腫瘍モデルを用いて、既知の抗原を添加し結合を測定したところ、予想通り可溶型T細胞受容体の結合が確認できた。この方法により、がん特異的なT細胞受容体療法が開発できると考えられた。
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