2020 Fiscal Year Annual Research Report
Therapeutic biofilmによる歯周病・根面う蝕治療アプローチの転換
Project/Area Number |
19K22705
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 教授 (20401763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 由香莉 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40710520)
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
藤本 啓二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70229045)
高橋 直紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80722842)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 歯周治療学 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,歯周・う蝕治療の基本概念である『バイオフィルムの徹底排除』から『Therapeutic biofilmの作為的形成』へと発想を逆転することにより,歯周病および根面う蝕の発症・進行の制御に挑戦する。両疾病の原因となる細菌プラークはバイオフィルムとして薬剤抵抗性を持ち, 治療においては機械的除去が必要である。しかしセルフケア困難な部位にバイオフィルムを作らせないことは不可能であり,既存の治療法は限界に至ったと考える。そこで,本研究はTherapeutic biofilmの概念創生に向けた探索を行う挑戦的研究である。 In vitro におけるTherapeutic biofilmの創製および機能評価を目標とし,キトサン被覆リポソームを用い,歯周病原細菌由来バイオフィルム並びに口腔常在菌由来バイオフィルム形成に対する影響を検討した。バイオフィルム形成量の評価にはクリスタルバイオレット染色を用いた。 それらの結果から,菌の培養条件下において細菌との共培養に適切なリポソームカプセルの性状について検討を行った。また,蛍光物質を内包したリポソームと菌の共培養を行い,蛍光観察に適したリポソーム性状とその崩壊条件についても検討を行った。 今回の実験から,キトサン被覆リポソームは細菌培養条件下において崩壊が誘導され,その結果バイオフィルム形成が抑制される可能性が示された。また,培地によってカプセルの崩壊速度は変化することが明らかとなった。すなわち,タンパクや脂質などの組成によってカプセルの崩壊が影響を受けていると考えられ,このメカニズムを利用することでカプセルを含有したバイオフィルム内において,バイオフィルムの生育状況に応じたカプセルの作用タイムポイントの調整が可能となる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)