2019 Fiscal Year Research-status Report
数理モデリングによる歯周組織再生メカニズムの解明と再生効果予測
Project/Area Number |
19K22714
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 千春 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00755358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 正博 大阪大学, 歯学研究科, 准教授 (10243247)
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60452447)
Canela Andres 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90837585)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
Keywords | 歯周組織再生 / 遺伝子発現 / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周組織の再生は、再生治療剤自体の効能に加え、患者の生体因子 (幹細胞の数、放出される再生を促すタンパク質の量ど) が時間軸で変化しながら影響することに大きく左右される。しかしながら、歯周組織再生に影響を与える複数の生体因子を統合し、歯周組織の再生機構をシステムとして理解するための方法がこれまでに存在しなかったため、歯周組織の再生効果を科学的に予測することは不可能であった。本研究では、これらの因子を多面的に解析し、数理モデルを用いて統合することで歯周組織再生療法による再生効果を予測する手法を開発することを目的として研究を行った。 1) マウス歯周組織再生モデルの確立 マウスの第二臼歯に糸を巻き、歯周病を誘導した後に糸を除去することで歯槽骨が再生する様子をマイクロCTにて観察した。10日間歯周病を誘導すると、10日程で約80%の歯槽骨再生を認めることが確認できた。この結果を基に、本研究で時系列遺伝子発現解析を行う期間を3日おきに12日間観察することとした。 2) 歯周組織再生制御の鍵となる分子の抽出 歯周組織再生誘導マウスモデルを用いて、時系列歯周組織のサンプルを回収し、歯周組織再生過程で発現が大きく変動する分子を、RNAシークエンス解析により検討した。具体的には、マウスの臼歯に糸を巻き10日間歯周病を誘導した。10日後糸を除去し、3日おきに糸周囲の歯周組織を回収し、RNAを抽出した。得られたRNAの質を電気泳動とバイオアナライザーを用いて検討し、RIN値平均7.0以上のサンプルをRNAシークエンス解析に用いた。RNAからライブラリーを作成し、RNAシークエンス解析を行った。得られた結果をバイオインフォマティクス解析することで、歯周組織の再生に伴い発現変化する特徴的な遺伝子を抽出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R1年度に予定していた歯周組織再生制御に関連する分子をRNAシークエンス解析で同定することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、下記の実験を計画している。 1)歯周組織再生の分子制御機構を表す数理モデルの構築 昨年度にRNAシークエンス解析により抽出した遺伝子の発現変化を定量PCRにて確認する。マーカーが多数あり同定が困難な細胞については、フローサイトメーターを用いて定量解析する。得られた数値の時系列結果を基に、歯周組織再生過程における分子間相互作用を数式で表す。 2)数理モデルの解析と検証 (2020年度) 歯周組織の再生にいずれの遺伝子発現 (パラメーター) の変動が鍵となるのかをin silicoで解析する。すなわち、数理モデルのパラメーターの条件を変更して再生を制御する因子を同定する。数理モデルで得た結果を、歯周組織再生に影響を与えるマウスモデルまたはヒトの検体を用いて検証する。
|
Causes of Carryover |
共同研究者の研究機関(英国) にて研究の続きを行うための出張を予定していたが、COVID-19感染拡大のため共同研究機関訪問の予定を延期した。出張費用339,599円を2020年度に繰り越した。次年度、現地施設の閉鎖が解除された場合、旅費として使用予定。
|
Research Products
(4 results)