2020 Fiscal Year Research-status Report
AI技術と加圧的造形粘膜面デジタル印象法による自動床縁設定法の開発
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19K22720
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90193432)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | デジタル印象 / 口腔内スキャナ / 空気圧 / AI / 床縁 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、空気圧負荷によるデンチャースペース造形後の顎堤・歯肉頬移行部のデジタル形態記録とAI技術を用いての義歯床縁部の自動形態設定法の開発をおこなうものである。本年度では、昨年度設計した空気圧噴出加圧装置を具現化し、口腔内スキャナTorios (3shape) に付着させ、上下顎無歯顎顎堤の撮像を試み、その3次元形状が概形印象として妥当かどうか、そしてこの記録方法によるデータから従来法の形態をAIで予測できるかどうかを検討することが目的であった。 その結果、上顎のデジタル印象については、顎堤の擬似カラーは非常に改善されたものとなり、また3次元形状も定性的であるが概形印象としては妥当であることが示された。下顎のデジタル印象については、デジタル印象採得自体が非常に困難で、顎堤への何らかの前処置が必要であることが示唆された。そこで水性皮膚鉛筆による顎堤へのマーキング、異なった種類の口腔内スキャナの使用によって、下顎のデジタル印象がほぼ可能になった。噴出口の位置と空気圧噴出量も患者の違和感、不快感をもとに検討を行った。その結果、空気圧噴出加圧装置付き口腔内スキャナによる撮像システムをほぼ確定できた。 次年度に行う臨床調査として、①AI学習と新たなシステムの評価のコントロールとしての装着義歯の3次元形状の取り込み(シリコーンによる粘膜面印象)、②①の顎堤形状と空気圧噴出加圧装置付き口腔内スキャナによる顎堤形状との一致度の計測、③患者および術者への質問票からなる研究プロトコルを整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年の予定は、昨年度構築した空気圧噴出加圧装置を用いて、実際の口腔内の顎堤の撮像を行い、口腔内の顎堤が適切に記録できるを確認し、その考案した方法の臨床評価のための特定臨床研究に進むか、あるいは撮像方法自体を再検討するかの判断をすることであった。 上顎については、口腔内スキャナの取り扱いが初心者のものであっても、上顎の顎堤形態を撮像できることが確認された。しかし、下顎の顎堤形態についてはテクニックセンシティブで撮像が困難なことが判明した。そのため、使用する口腔内スキャナの種類を増やし、口腔内スキャナによる影響を検討することにした。そのため患者での顎堤形態の撮像収集が遅れている。また、また新型コロナ感染症の影響のために、被験者の同意を得ることが難しくなっている。 そのため、研究全体として「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
デジタル印象が採得しやすい空気圧噴出加圧方法とそれを組み込んだ口腔内スキャナによる採得方法と手順を検討し、無歯顎者を対象に、その採得された三次元形状が従来の方法と比較してどの程度の印象採得の精度になるかを検討する。同時にデジタル形態記録から最終の床縁形態の予測がAIによって改善、あるいは推測可能かどうかの検討をおこない、考案したシステムの実用可能性を探る。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の蔓延と口腔内スキャナの被写体深度の問題もあり、若干研究が遅れている。そのため、昨年度のチェアサイドでのコンプレッサーによるエア供給の変更部分と、研究倫理審査をまず特定臨床研究にはせず、通常の臨床研究として申請した部分を本年度繰り越したが、その繰り越し部分をさらに次年度に繰り越した。スキャナチップの空気圧噴出部分の設計変更、AIの研究、および特定臨床研究申請に使用予定である。
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