2021 Fiscal Year Research-status Report
唾液中の可溶性マーカーに着目したIgG4関連疾患の新たな診断方法の開発
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19K22723
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中村 誠司 九州大学, 歯学研究院, 教授 (60189040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前原 隆 九州大学, 歯学研究院, 助教 (10637333)
森山 雅文 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20452774)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgG4関連疾患(IgG4-RD)は、唾液腺を始めとした多臓器に線維化を伴った腫瘤形成とそれに伴う機能障害を来す全身性疾患であり、本邦から提唱された新しい疾患概念である。診断には「IgG4関連疾患包括的診断基準」および「臓器特異的診断基準」が用いられており、類似疾患との鑑別のために罹患臓器の生検を推奨している。しかし、唾液腺以外の臓器では生検の実施が困難であり、診断および治療方針の決定に苦慮することが少なくない。また、再発しやすいので長期に経過を診る必要があり、そのために非侵襲性で繰り返して実施できる検査が求められている。 本研究では、非侵襲性で繰り返して実施できることも検査の重要な要件であると考え、最も罹患頻度が高いのが唾液腺であること、さらには唾液腺内で産生される可溶性分子は唾液中にも検出可能であることに着目し、唾液中の可溶性マーカーを用いた新たなIgG4関連疾患の診断法の確立を目指す。 今年度は、昨年度IgG4関連疾患の唾液腺組織から抽出した疾患特異的分子のうち、SMAD3(SMAD family member 3)、RELA(RELA proto-oncogene, NF-kB subunit)、ETS1(ETS proto-oncogene 1, transcription factor)に注目し、唾液腺組織での発現と局在について蛍光多重染色およびTissueFaxを用いて定量的解析を行った。その結果、SMAD3のみが疾患特異的に発現亢進を認め(シェーグレン症候群や慢性唾液腺炎と比較して)、主な発現細胞は肥満細胞などの顆粒球であった。肥満細胞はIgG4へのクラススイッチに必須なサイトカインであるIL-4を産生することが知られていることからも、SMAD3が本疾患の病態形成に重要な役割(key master regulators)を果たしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で唾液採取が困難となり、現段階では組織を用いた解析を行っている。今後も唾液を用いた診断方法の開発は困難であることが予想されるため、組織や血液を用いた診断方法を開発する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響で唾液採取が困難であるため、今年度は唾液中の可溶性分子の解析ができなかった。今後は組織や血液でも同様に網羅的解析(scRNA-seq解析)を行い、今年度の研究で抽出した分子にも注目して、IgG4関連疾患の新規診断方法の開発に向けて研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で唾液サンプルの採取が不可能となった。そのため検索する数が減ったため、予定支出額より少なくなった。今後血液や組織での検討に切り替えて、研究を進めてく予定である。
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Research Products
(7 results)