2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of bone anabolic drugs via evaluation of Wnt activity
Project/Area Number |
19K22728
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
中道 裕子 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20350829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 敦 松本歯科大学, 歯学部, 准教授 (00532772)
堀部 寛治 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (70733509)
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | プロテオゲノミクス / Crispr-A / Wnt活性レポーター / 骨形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム編集酵素Cas9(clustered regularly interspaced short palindromic repeats-associated protein 9)による遺伝子発現活性化(Crispr-A, Aは活性化activationの意味)ライブラリーにより発現した遺伝子機能を、Wntシグナル活性依存性の薬剤感受性レポーターシステムで評価することで、骨形成制御因子を同定する。そのために、Wnt活性の上昇に応じて赤色蛍光色素の発光とともにゼオシン耐性を獲得するシステムと、Wnt活性の上昇に応じて緑色蛍光色素の発光とともにジフテリア毒素感受性を獲得するシステム の2種類作製した。前者はBAR (beta-catenin activated reporter)-RedZeo、後者をBAR-DTR-GFPと命名した。両システムを導入するためのレンチウイルスベクターを作製し次いで、レンチウイルス感染によりレポーターシステムを導入したモノクローナルST2細胞とHEK293細胞の樹立に成功した。また、Wntシグナルによるタンパク質リン酸化の変化を、Wnt3a処理したマウス骨髄間葉細胞ST2細胞をリン酸化タンパク質量分析法で調べた。5つのBiological replicateにおいて共通にシグナル強度が上昇するリン酸化ペプチドを得ることが出来た。本研究では、未知のリン酸化部位、タンパク修飾、相互作用を明らかに出来る。従って本研究は、我々のWntシグナル伝達への理解が大きく変わる可能性のある重要かつ挑戦的な研究であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wnt活性の上昇に応じて赤色蛍光色素の発光とともにゼオシン耐性を獲得するシステムBAR-RedZeoレポーターとCrispr-Aシステムを組み合わせることで、Wntシグナル促進因子、すなわち骨形成促進因子を単離することが出来る。BAR-RedZeoレポーター発現HEK293モノクローナル細胞を作製したところ、Zeocinアナログの存在下においてWnt3aは、Zeocin アナログ誘導性の細胞死から細胞をレスキューすることが出来た。また、BAR-RedZeoレポーター発現ST2細胞は、添加したWnt3aの濃度に依存した赤色蛍光を発し、Wnt処理72時間で6000倍ものシグナル強度に達した。したがって、Crispr-AシステムによるWntシグナルの正の調節因子すなわち骨形成促進因子スクリーニングの準備が整った。また、Wnt活性の上昇に応じて緑色蛍光色素の発光とともにジフテリアトキシン感受性を獲得し細胞死を誘導するシステムBAR-DTRGFPレポーターとCrispr-Aシステムを組み合わせることで、Wntシグナル抑制因子、すなわち骨形成抑制因子を単離することが出来る。BAR-DTRGFPレポーター発現ST2モノクローナル細胞を作製したところ、ジフテリアトキシンの存在下においてWnt3aは濃度依存的に細胞死を誘導することが出来た。したがって、Crispr-AシステムによるWntシグナルの負の調節因子すなわち骨形成抑制因子スクリーニングの準備を整えることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までにWntシグナル活性依存的な細胞死誘導・レスキューシステムの構築に成功した。今後は、このシステムを有効活用出来る、最適なCrisp-Aライブラリーの精製に取り組む。具体的にCrispr-Aシステムは、Broad Institute のDoench labとRoot labで開発したシステム Broad GPP activation mouse Caprano p65-HSF, Addgene #1000000113, Nat Commun 9:5416, 2018) をマイナー改良したものとBroad GPP activation human Calabrese p65-HSF, Addgene #1000000111を用いる。ライブラリーの調製は、中道と堀部が行う。その後ライブラリーをBAR-RedZeoレポーター発現HEK293モノクローナル細胞、BAR-RedZeoレポーター発現ST2モノクローナル細胞およびBAR-DTRGFP 発現ST2モノクローナル細胞に導入してスクリーニングを中道が行う。目的遺伝子同定のための次世代シークエンス解析に用いるプライマーセットを中道が準備する。データ解析と解釈を中道と宇田川教授が行う。
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Causes of Carryover |
試薬をディスカウントで購入することが出来たため、次年度使用額が生じた。 この金額は、ルーチンで使う大腸菌の形質転換選択に用いるアンピシリンの購入に充てる予定である。
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Research Products
(8 results)