2019 Fiscal Year Research-status Report
大規模コホート集団を用いた住環境と健康に関する疫学調査
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19K22732
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寳澤 篤 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (00432302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 兼一 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50293494)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 住環境 / 健康指標 / 疫学研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
住環境は人間が最も長く曝露を受ける環境であり、その環境による人間の健康が大きく影響を受けている可能性がある。しかしながらこれまでの疫学研究では、個人の生活習慣や遺伝要因には注意が向けられているが住環境について十分な調査がなされてきているとはいいがたい。本研究では、建築環境の分野で開発されたCASBEE健康チェックリストを活用して住環境の評価を行う。 令和元年度は東北メディカル・メガバンク計画の追跡調査データを用いて、CASBEE健康チェックリストの特に温度に関わる項目と心理的苦痛(K6)に関して分析を行った。住環境の温度に関する主観的評価項目、心理的ストレス評価項目の情報に欠損のない29,380人(男性10,221人、女性19,159人、平均年齢61.7歳)を対象として分析を行った。心理的苦痛の評価にはK6を使用し、合計得点5点以上を「心理的苦痛あり」とした。CASBEE温度スコアを四分位に基づく4群(Q1[住環境の温度に関する評価が最も低い群]、Q2、Q3、Q4)に分類し、Q4を基準とした時の他群における心理的ストレスありのオッズ比と95%信頼区間を性・年齢・職業・学歴・震災時の家屋損壊の程度・同居家族の有無を調整した多変量ロジスティック回帰分析にて算出した。 その結果、CASBEE温度スコアが低い群ほど心理的ストレスを有する者の割合が高かった(Q4:9.3%、Q3:16.9%、Q2:23.2%、Q1:38.9%)。調整オッズ比においても、CASBEE温度スコアが低くなるほど心理的ストレスありのオッズ比が有意に高かった(Q3:1.91[1.74-2.14]、Q2:2.82[2.55-3.12]、Q1:5.76[5.24-6.33])。以上より、住環境の温度に関する主観的評価と心理的ストレスとの間に有意な負の関連が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は東北メディカル・メガバンク計画の追跡調査データを用いて、CASBEE健康チェックリストの特に温度に関わる項目と心理的苦痛(K6)に関して分析を行った。その結果、温度に関わる項目は心理的苦痛と強く関連しており、さらに調査票記載の季節によらずその関連が認められることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後分析対象疾患を増やして研究を発展させていく、具体的には血圧・呼吸機能などを含めた解析の実施を検討している。
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Causes of Carryover |
予定していた海外の学会参加が、新型コロナウイルス感染症により海外渡航ができなくなったため。次年度は情報収集のため海外の学会参加と、研究遂行の更なる加速のため解析サポートを行う補助員を雇用予定である。
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Research Products
(1 results)