2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of factors associated with global spread of enterovirus D68
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19K22733
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
押谷 仁 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80419994)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | エンテロウイルスD68 / 呼吸器感染症 / EVーD68 / インフルエンザ / RSウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
エンテロウイルスD68(EV-D68)は、急性呼吸器感染症および中枢神経系疾患の原因となる可能性が比較的高いウイルスであり、近年疫学的重要性が増してきている。2000年代後半から世界的にその報告数が増加傾向にあり、2014年から2015年にかけては北米・ヨーロッパさらには日本でかつてない規模の流行が起きている。しかし、そのような流行が起きるメカニズムについては十分に解明されていない。 本研究では、主にフィリピンで収集したエンテロウイルスの遺伝子解析を通じて流行が拡大したメカニズムを解明することを目的としている。2019年度はこれまでに集積されフィリピンで検出されたウイルスの解析や日本その他の地域で検出されたウイルスとの比較などを行った。またウイルスのフルゲノムシークエンスを決定するための基盤技術の確立を進めている。EV-D68の5’末端の遺伝子変異がEV-D68に見られる中枢神経系の症状に関与する可能性についての検討を行うなど(Furuse Y et al. Viruses 2019)、EV-D68に関する研究の論文発表を行うことができた。一方、EV-D68の機能的受容体として、シアル酸の役割が分かってきており、ヒトへの感染性におけるこの受容体の役割については、引き続き解析を行う。今後は全世界で流行している同じく呼吸器感染症を引き起こす新型コロナウイルスの原因ウイルスであるSARS-CoV-2とも比較を行いながらさらに研究を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィリピンのウイルス株の解析については進んできているが、新型コロナウイルスの世界的な流行によりフィリピンへの渡航が困難となり、また日本側・フィリピン側の研究者が新型コロナウイルス対策に忙殺されていたことなどによりフルゲノムの解析など一部の解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの流行により渡航が難しくなっているが、それについては現地の研究者とのウェブ会議などを通して研究を遂行できる体制を構築していくものとする。
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Causes of Carryover |
令和元年12月に中国 武漢から流行した新型コロナウイルス感染症の世界的な流行拡大によりフィリピンでも感染者が増加し渡航が困難となった。令和2年度は現地の研究者とのウェブ会議などを通して研究を遂行できる体制を構築していくものとする。
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[Journal Article] Fluctuations in Antibody Titers against Enterovirus D68 in Pediatric Sera Collected in a Community before, during, and after a Possible Outbreak.2020
Author(s)
Kadji FMN, Nishimura H, Okamoto M, Sato K, Ohmiya S, Ito H, Suzuki A, Nagai Y, Oshitani H.
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Journal Title
Japanese Journal of Infectious Diseases
Volume: 73(1)
Pages: 55-57
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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