2020 Fiscal Year Research-status Report
「美味しさ」刺激と随意性嚥下機能との関連―摂食アプローチに向けての検証
Project/Area Number |
19K22748
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内山 美枝子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10444184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯島 淳彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00377186)
奥田 明子 (田所明子) 新潟大学, 医歯学系, 講師 (60454584)
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10323966)
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (40397162)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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Keywords | 美味しさ / 随意性嚥下機能 / 摂食アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は1.「美味しさ」を感じたときの生体反応を定量化し「刺激」を策定すること。2.「美味しさ」刺激と随意性嚥下機能の関連を検証することである。今年度は1.「美味しさ」を感じたときの生体反応の定量化の検証のため昨年度の「美味しい」と感じた時の瞳孔の縮尺および皮膚電気反応(Galvanic Skin Response:GSR)の測定データの解析を進めた。 五味(甘味、塩味、苦味、旨味、酸味)+辛味とそれに準じたフレーバーを用い、味刺激やフレーバーの種類によるGSRの変化について検証した。方法は五味+辛味とフレーバー(以下、FT)とフレーバーのみ(以下、F)の12サンプルを口腔内に滴下したときのGSRを計測した。分析は口腔内刺激30秒間と刺激後のGSR値の変化量の差とサンプルによる変化量の比較を行った。被験者は13名(女性7名・男性6名)で実施した。結果、FTとFのいずれにおいてもGRS値の変化量があった。FTとFの変化量の比較では、FTでは旨味、Fでは辛味が高値を示した。これらから、人間の嗜好と生体反応との関連が示唆された。また個人の美味しさの感じ方に注目し、味覚とそれに準じたフレーバーを用いて、味・香り刺激による瞳孔反応と主観評価の関連を検証した。実験は、13名(男性6名、女性7名)の研究対象者に対し、五味+辛味の計12サンプルを口腔内に滴下した時の瞳孔径を計測した。また、主観評価にはVisual Analog Scale(VAS)を用いた。瞳孔径変化とVASの関係をサンプル間、個人間で比較した。その結果、滴下後10秒間のサンプルごとの瞳孔径変化量とVASに有意な相関はないものの、滴下後20~30秒の研究対象者ごとの初期瞳孔径に対する変化率とVASに有意な相関があった。以上より、個人によって異なる味の感じ方は、瞳孔径の変動と関連があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は研究目的の1.『「美味しさ」を感じたときの生体反応を定量化し「刺激」として策定すること』に関しては、引き続き課題を焦点化し、成果をまとめていく。また研究目的の2.『「美味しさ」刺激と随意性嚥下機能の関連の検証』については、研究分担者と研究方法の実施に関して着手している。 上記内容の通り研究を進められているため順調といえる。本研究前より研究実施のための準備状況と研究分担者の役割も確定しており、「美味しさ」や味覚に関する成果も公表している。また当初の予定計画通りの実施の進捗である。「美味しさ」刺激と随意性嚥下機能の関連の検証においても解析方法と方策を明確にし、現在倫理審査委員会に申請中である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は研究目的の2.『「美味しさ」刺激と随意性嚥下機能の関連の検証』について重点的に実施する予定である。2について「美味しさ」の有無による咽頭活動の変化があるかという問いを受け、「美味しさ」の有無と嚥下時の咽頭部の動画解析による検証を進めている。研究分担者と研究方法の実施と解析方法は検討し、実施可能性を確認している。倫理審査委員会の承認後、データの収集をしていく予定である。また最終年度であるため、成果報告の実施と今後の課題も見出し、美味しさの定量化の実現にむけて検討する。
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Causes of Carryover |
今年度COVID-19感染拡大のため成果報告のための出張費の使途がなかった。次年度は今年度の状況を鑑み、使途計画を検討し、使途していくこととする。
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Research Products
(5 results)