2019 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷に関わる年齢依存性発現分子の機能解析―法医学から老化医学への展開
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19K22754
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
飯田 礼子 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (40139788)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | DNA損傷 / KOマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、M-LP遺伝子を個体レベルおよび細胞レベルにおいて欠損させ、それぞれ正常個体や野生型細胞と比較・検討しM-LPの機能を解明することを目指している。 1. M-LP-KOマウスの作製 CRISPR/Cas9システムを利用してM-LP-KOマウスを作製した。sgRNAはMpv17L遺伝子exon 1内の23塩基をターゲットとして設計した。sgRNAおよびCas9タンパク質をC57BL/6Nマウスの受精卵にマイクロインジェクションし、仮親に移植することによりファウンダーマウス(F0)を得た。続いて、塩基配列分析によってなるべく大きな欠失が生じ、さらにフレ-ムシフトが起こったF0マウスを、野生型C57BL/6Nと交配させてF1ヘテロマウスを作製し、さらにF1マウスどうしの交配により産仔(F2)を得た。遺伝子型解析は、マウスDNAを鋳型とし、遺伝子欠損部位の両側に設定した2つのプライマーを用いたPCRにより実施した。得られたF0マウスの中からexon 1内の295bpが欠失したものを選択し、野生型と交配させることによりF1ヘテロマウスを得た。さらに、F1どうしの交配によってホモ欠損型M-LP-KOマウスを得ることができた。 2. M-LP-KO細胞の解析 M-LP-KO細胞におけるmtDNA損傷の増加は、プロテインキナーゼAによるTFAMのリン酸化により引き起こされる。そこで、プロテインキナーゼAの活性化に関わるcAMP量を測定したところ、M-LP-KO細胞においてcAMP量が3倍以上に増加していることが示された。また、cAMP分解に関わる酵素PDEの総活性がM-LP-KO細胞において著しく低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個体レベルの実験では、KOマウスの作製・繁殖・維持が順調に進んでおり、細胞レベルの実験においても一定の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
KOマウスにおいて、外表上明らかな形態異常は見られなかった。今後、系統を繁殖・維持しつつ、生化学的検査および病理組織学的な解析を含む表現型解析を行う予定である。 細胞レベルの解析では、M-LP-KOによるcAMP量の増加はPDE活性の低下によるものと推測されたことから、PDE活性低下の分子メカニズムについて解析を行う。さらに、ミトコンドリア分画や細胞質基質分画に含まれるプロテインキナーゼAの基質タンパク質について、M-LP-KOによるリン酸化レベルの変化を解析する。
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Causes of Carryover |
試薬や器具類をキャンペーンの利用により購入したため差額が生じた。 2020年度助成金の物品費と合わせて、試薬等の消耗品の購入に使用する。
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