2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K22755
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
猩々 英紀 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60284626)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 敬人 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (40512497)
葛西 宏威 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (20324189)
|
Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2022-03-31
|
Keywords | 脳の生活反応 / 中枢神経系リンパ管 / 免疫細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
生活反応(出血や細胞反応などの生体反応)は損傷が生前に生成したことを示す重要な証拠である。また、免疫システムを介した生活反応の証明は、損傷機転や受傷後経過時間の解析に利用されている。ところが、中枢神経系は免疫特権領域であり、これまで正常な脳では免疫細胞の出入りはないと考えられていたために、免疫システムを利用した脳の生活反応の解析は殆ど実施されてこなかった。しかしながら近年、マウスの硬膜静脈洞の内表面にリンパ管が発見され、正常な状態でも免疫細胞が脳とリンパ管を移動している可能性が示唆されている。即ち、これまで見過ごされてきた免疫システムを介した生活反応のマーカーを見出すことができるかもしれない。そこで本研究では、ヒトの中枢神経系にもリンパ管が存在することを分子組織化学的に証明し、脳脊髄液を介して移動する免疫細胞を特定すると共に、脳の炎症や消炎などに関わる免疫細胞基盤を明らかにし、新たな生活反応のマーカーを創出する事を目指している。 本研究はヒト試料を用いた研究であるため、当該年度にまず各研究機関において倫理審査を受け承認を得た。続いて、脳試料採取条件および免疫細胞調製法について検討を行なった。その結果、脳試料採取および免疫細胞調について新たな知見を得ると共に、幾つかの改善点を見出した。さらに、得られた細胞分画を用いてFACS解析を実施しており、その詳細について鋭意解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではヒトの中枢神経系にもリンパ管が存在することを分子組織化学的に証明し、リンパ管を介して脳実質へ移動する免疫細胞を特定する計画である。従って、ヒト試料を用いて検討している。しかしながら、COVID-19の影響により試料収集・解析及び試薬納入に遅延が生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が収束し次第、当該年度から継続して、ヒトの中枢神経系にもリンパ管が存在することを分子組織化学的に証明すると共に、リンパ管を介して脳実質へ移動する免疫細胞を特定する予定である。即ち、ヒトの中枢神経系にもリンパ管が存在すること証明するためにヒト組織標本を用いて分子組織化学的検討を実施する。また、令和元年度に得られた脳実質からの免疫細胞調製法の改善点を検証する。さらに、FACS解析リンパ管を介して脳実質へ移動する免疫細胞を特定する。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により試料収集が遅延しており、試料採取条件や免疫調製法の検討に難渋しているために、次年度使用額が生じた。COVID-19が収束し次第、研究計画に従って順次使用予定である。
|