2023 Fiscal Year Annual Research Report
児童虐待の臨床法医学鑑定を見据えた小児の胸腺の非侵襲的検査法の確立
Project/Area Number |
19K22761
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
高瀬 泉 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30351406)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 誠 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10593303)
鯉渕 晴美 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20382848)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Keywords | 胸腺退縮 / 超音波検査 / 児童虐待 / 非侵襲的検査 / 臨床法医学鑑定 / 乳幼児 / 法医解剖 / 組織学的検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
法医解剖において長期にわたり常習的に虐待された児童の胸腺は退縮していることが指摘されてきた。裁判では、虐待の時期や期間等を問われることがあり、変色斑(皮下出血)等の色調変化を推定根拠とすることが多いが、主観的とも指摘され、現在のところ、医学的に確立した客観的な指標はない。そこで、胸腺機能に影響を及ぼす疾患を有しない未就学児を対象に超音波検査を施行して胸腺の大きさを測定し、その方法を確立しつつデータを蓄積する(対照群)。一方、虐待が疑われる未就学児を対象に、同様に検査をおこない(被虐待群)、そ のデータを比較して、生体鑑定における被虐待児の判別および虐待期間の推定への応用を検討する。 超音波検査は、鯉渕らの小児の正常胸腺の描出手法に倣い、「右傍胸骨」「左傍胸骨」「上胸骨」の各アプローチで行う。1)対照群データ収集:胸腺の全体像が得られる場合には、そのデジタルデータにおいて3 方向 (上下・左右・前後)の最大値を計測して、対照群(全体)データとする。なお、全体像が得られない場合には、参考値として、最大限に描出し得る部を用いて、同様に、3方向(上下・左右・前後)の最大値を計測し、対照群(部分)データとする。2)被虐待群データ収集:対照群と同様に超音波検査を行う。得られたデータを被 虐待群(全体)データおよび被虐待群(部分)データとする。3)胸腺サイズからの虐待および同期間の推定:対照群と被虐待群の各データを用いて、胸腺の計測値を 月齢あるいは年齢別に比較する。さらに、被虐待群のデータを用いて、他の損傷検査や捜査等の情報から得られた虐待の推定期間との相関関係を検討する。これらのことを実施するために保育園・市町の健診で胸腺の超音波画像を得る予定であったがコロナ禍で困難となったため乳幼児の解剖事例を用いて組織学的検索を行った。
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