2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of AI-supported auto-diagnostic system for occupational lung diseases
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19K22763
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
菅沼 成文 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (50313747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 真一 高知工科大学, 情報学群, 准教授 (30334519)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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Keywords | 職業性肺疾患 / 画像診断 / 人工知能 / コンピュータ診断支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特徴的な放射線医学的所見を示す職業性肺疾患に、人工知能による判別アルゴリズムを開発して、自動診断を実現しようとするものである。胸部エックス線が肺がん、結核、じん肺などの検診に使われてきており、びまん性肺疾患の重症度分類においても、国際労働機関(ILO)による国際じん肺エックス線分類が公的な診断基準として長年用いられ、労災認定などの社会医学的措置の根拠となってきた。我が国ではILO分類に準拠した厚生労働省じん肺X線分類が使われている。しかし、胸部エックス線によるじん肺陰影の判定は熟練を要する上に、世界各国での需要に対してじん肺の判定医の数が少ない。このような問題を、人工知能を用いたコンピュータ診断支援ソフトを開発し解決する。孤立性病変においては既に有用な結果が発表されており、びまん性病変の判定に対する人工知能の実用可能性を検討する。アメリカ国立衛生研究所(NIH)が公開する胸部単純エックス線画像112,120枚をデータセットとして用いる。それを訓練用、検証用、評価用に分割して実験に用いる。Googleが開発した機械学習用ライブラリTensorflowに組み込まれている、複数の学習済みモデルを用いて、ファインチューニングにより学習を行い、14種類の疾患の診断を行い職業性肺疾患への適用の可能性を探ることができた。 今後はこの手法をびまん性肺疾患に応用して検証を進めていくと共に、独自のデータセットを追加していく。職業性肺疾患に類似したびまん性肺疾患の診断能力はあまり高くないため、解像度を高くする、さらに多くのニューラルネットワークモデルを検証する、新たなニューラルネットワークモデルを構築する、データセットの質を向上させる、といった方法によって精度改善を試みる。またエックス線画像のみではなく、CT画像を併用することでびまん性肺疾患の自動診断を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分担研究者との協議を行って研究を開始した。NIHが公開する胸部単純エックス線画像112,120枚をデータセットとして用いて、訓練用、検証用、評価用として用いた実験を行った。当初は、AIによる深層学習が進まず判定ができないという困難に直面する場面もあったが、分担研究者との協議をオンラインなどで実施し、そこからのいくつかの実務的な助言によって克服できた。Googleが開発した機械学習用ライブラリTensorflowに組み込まれた複数の学習済みモデルを用いて、ファインチューニングにより学習を行い、14種類の疾患の診断を行い職業性肺疾患への適用の可能性を探ることができた。アメリカ国立産業衛生研究所(NIOSH)との共同研究について協議しており、こちらからの研究計画書を送る手筈になっているが、今般の新型コロナウイルス対応など諸般の事情でここに手間取っている。NIOSHの担当者との連絡は取っているので、この部分を早期に進めることが重要である。これまでの成果について、いくつかの学会で発表を行なっており、今年5月に誌上及びWeb開催として行われた日本産業衛生学会において若手優秀演題賞(野村與珠亜一國)を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回は、既存の手法を用いて胸部エックス線画像を自動診断することができるかを検証した。今後はこの手法をびまん性肺疾患に応用して検証を進めていくと共に、独自のデータセットを追加していく。職業性肺疾患に類似したびまん性肺疾患の診断能力はあまり高くないため、技術的な工夫を要する。これまで検討されているAIのほとんどが解像度を落とした画像を用いて深層学習、検証を行なっていることから、びまん性肺疾患の所見を的確に描出するのに十分な程度に解像度を高くする、さらに多くのニューラルネットワークモデルを検証する、新たなニューラルネットワークモデルを構築する、データセットの質を向上させる、といった方法によって精度改善の余地が大いにあると考えられる。ハードルを乗り越えるために検討中のじん肺ファントムの作成を目指す。分担研究者との協議を進め、他分野でのAI活用事例からも学ぶ。NIOSHとの共同研究を立ち上げられる見込みが整っているため、それを確実に進める。またエックス線画像のみではなく、CT画像を併用することでびまん性肺疾患の自動診断を目指す。また、人工知能による自動診断を医師が簡単に用いることができるようなソフトウェアの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
NIOSHとの共同研究について具体的なやりとりが休止したため。新型コロナ感染者の増大によって移動制限が生じたことがも一因。初年度の研究によって、ハードルが明確になっているので、計画を少し変更している。こうした研究を学内外で発表していることにより、医工連携を研究したい大学院生が3名加わっており、研究に関わる人員の増加を考慮した資金計画を検討した。また、より解像度の高い画像の深層学習などに必要な資材の購入に当てることが可能となっており、当初よりも大きな成果が期待できる。
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